あるひのあひる

sometimes"♯",sometimes"♭" ,and always"NATURAL”
猫とハーブと酒と音楽

進むべき道

2009-07-09 11:03:33 | 子ども・育児・チャイルドマインダー

また、遣り切れない事件が起きてしまった。
出雲市の13歳少年による、父親刺殺。
この手の、(ある意味まだ“幼い”とも言える)子どもによる肉親殺害事件の報道を見る度に、とある1冊の本を思い出す。

供述調書漏洩の件で裁判にもなった、ある事件に関する本である。

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2007-05-22

“こんな静かな所でそんな恐ろしい事件が起きるなんてショックです”
“仲が良さそうな親子だったのに・・・”
“信じられません。理解できない”

TVのインタビューでは、毎回同じようなコメントが繰り返される。
他人事。
衝撃的。
無理解。無知。

近所に住んでいる他人がただの隣人として表面的に付き合っているだけでは、その家庭の内情など到底理解できないだろう。
育児に悩んだ末、思わず我が子に手をかけ、その幼い命を奪ってしまった母親。
献身的に看病し、ずっと尽くしていたのにもかかわらず、介護に疲れ果て、親を殺してしまった子ども。


深く暗い底なしの閉塞感と絶望感、そして強い孤独感がそこには存在している。


事件が起きる度、マスコミは少しでもドラマチックな演出をしようと躍起になり、無責任で興味本位な内容でセンセーショナルに報道する。
そこには、事件の関係者に対する哀れみも、人間としての思い遣りも、事件の本質を探り、見極め、将来同じような過ちが繰り返されないようにとの配慮も、何も感じられないことがほとんどだ。
全てが“話題”
薄っぺらなバラエティ番組やお笑い番組と同じように、どんどん垂れ流され、ただただ過ぎ去ってゆくのみ。


産声をあげ、生まれてきたばかりの赤ちゃんは
皆同じように無垢の状態。
そして、親との関係性、周囲の環境、そんな様々な後天的な要素が次第に経験として積み重ねられ、持って生まれた本質的なものとあいまって個々の人格が形成されてゆく。


あの歳にして、親を殺してしまうまで追い詰められてしまった子どもは、一体どんな環境で、どんな関係性で日々を重ねてきたのだろう。
心から愛され、慈しまれ、尊厳を持って接してもらっていたのだろうか?
親だって一人の人間。過ちもある。喧嘩もあれば、時に憎むこともあるだろう。
けれど、心の底で、愛情という信頼関係が築かれていれば、命を奪ってしまうほどの憎悪にまで膨れ上がることはないのではないか。



寝釈迦よろしく、仕事もせず家の中でだらだらと過ごしている身には、この手のニュースが一番辛い。
一体私は何をやっているのだろう・・・。
子どもの心に寄り添う仕事がしたいと思いつつ、何もやってないからだ。
そう。事件は日々起きている。
ニュースにこそならなくても、人間関係で悩み苦しみ、閉塞感や憎悪、孤独感を募らせている子どもはこの世の中にたくさんいるはず。


それはともかく。

起きてしまった表面的な事実よりも、そうなるに至った経緯に重点を置いて、心という観点から原因を追究して欲しいものだ。

この世で起こる全ての事には、必ず何らかの意味がある。
原因あっての結果、なのだから。

コメント
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