天台宗の僧である私は、全ては御仏の導きと思っています。新年早々、私は花園大学教授の師茂樹さんの『論理と歴史 東アジア仏教論理学の形成と展開』という本を読ませてもらいました。一読しただけでは歯が立たないところがありますが、玄奘がインドで説いたと伝えられる「唯識比量」という論理式がどのように東アジアに広がり、どのようなリアクションをもたらしたかについて、詳しく叙述されていて勉強になりました。
師さんが「唯識比量」を論じたのは、「まえがき」でも触れているように、仏教論理学からの徳一へのアプローチによって、真実の徳一に迫りたかったからではないかと思います。
「筆者は大学で日本仏教を研究したいと思っていたのだが、大久保良峻先生から卒業論文のテーマをしぼるようにいわれ、徳一ゆかりの慧日寺のある磐梯町の隣町(猪苗代町)に住んでいたという安直な理由で徳一・最澄の論争をテーマに決めた。大学院では、徳一・最澄論争の第一人者である田村晃裕先生にご指導をいただくことができ、同時に横山紘一先生、廣澤隆之先生が主催する性相学研究所で唯識を学ぶことができた。筆者は今でも、自分が徳一の研究者であり、日本の法相唯識の研究者だと思っている。ただ、徳一や最澄が引用しているものを遡って調べて論文を書いていたら、結果的に朝鮮半島をはじめとする東アジア全域の文献を扱うことになり、そしていつの間にか玄奘三蔵の唯識比量に至ってしまった、という次第である」
徳一の研究家に会津出身の若い人がいるというのを知って、ぜひとも応援したい気になりました。師さんとお会いするのが楽しみです。
―師さんの著書を手に―
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