『グレートトラバース2 日本2百名山ひと筆書き』田中陽希(NHK出版)
昨年NHK-BSの番組が終了したときは、ほんとうに「あまロス」ならぬ「陽希ロス」。終わっちゃったなあという喪失感がすごかった。公式HPで、いまこの辺まで来たんだ、明日はここに登るんじゃないかと山の神との食卓の話題にも上った。本の巻末にある「222日間の行動記録」を見ると、スタートは2015年5月25日北海道宗谷岬、そして最後は2016年1月1日九州最南端佐多岬とある。リアルタイムで追っかけていたから、この間陽希くんの居場所をチェックしては楽しんでいたわけだ。
次は3百名山かと脳裏を掠めたが、それはさすがにないだろうね。2百名山よりも登山道は荒れているだろうし、つなげて歩くのは困難だろう。どんな山があるのかもよくわからないけれど、登山道がなくて、冬季だけしか登れないところもありそうだ。
個人的には、今回の2百名山では、東北の山が楽しみだった。東北といえば、おだやかで、湿原があって、ブナの森というイメージがある。姫神山、森吉山、和賀岳、神室山なんて、とても惹かれる山だ。まだ登っていないし、ぜひとも行ってみたい。
それはいいとして、この本、陽希さんの人柄がよく出ている。まったくテレビで見るのと同じように屈託がない。ストレートな感情表現がいい。また読んでいると、見ていた映像とオーバーラップしてくる。訪れる土地土地での地元の人たちとのふれあい。時には、応援者の多さにイラつくこともあって、彼らととどう接すればいいのか悩んだりもする。テレビでも、そのくだりはあったけれども、本のほうが赤裸々だ。山ばかりではなく、ロードの移動時のグルメ話も詳細に出てくる。やはりおいしいものを腹いっぱい食べたいのは人間の性(さが)、読んでいて、こちらも顔がほころんでくるというものだ。
次の陽希くんの山岳チャレンジはあるのだろうか。アドベンチャーレースもいいけれど、日本の山でやってほしいなあ。日本アルプス全山踏破とか、奥羽山脈大縦断とかね。
参考:
番組こぼれ話もある『日本百名山ひと筆書き』
http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/07aa4efa60f9d46809b6aff9f9e50045
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