目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

北アルプス大百科

2014-06-19 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

North_alps_obi
『北アルプス大百科』岩橋崇至(阪急コミュニケーションズ)

いただきものの本を久々に繙いてみた。たしか編集を担当されていた沼田さんから手渡されたように記憶しているが、さだかではない。氏は数年前に亡くなられている。享年70歳。ご冥福をお祈りいたします。

沼田さんは山の先輩である。90年代に沼田さん率いる山の会の面々で大菩薩のロッヂ長兵衛に宿泊し、甲州ワインの一升瓶をしこたま飲んだことを昨日のことのように思い出す。しかも2年連続で。あの頃は皆よく飲んだし、よくしゃべった。古きよき時代。

さてこの本は、大百科というだけのことはあって、たいへんな豪華本である。写真がとにかくすごい! モルゲンロートの槍、ガスのなかに姿を現したジャンダルム、ナナカマドの真紅が映える秋の涸沢、白馬大雪渓のお花畑、太陽柱やブロッケン現象といった自然現象、高山植物の華麗な花、花、花。カモシカ、オコジョ、雷鳥などの生き物たちなど、北アルプスのあらゆるものが被写体だ。大正時代に撮影された焼岳噴火の貴重な写真もある。近代登山黎明期、冠松次郎の「奥仙人谷の吊橋」も貴重な一枚だ。かつ必見。現代であれば危険すぎて通行禁止必定のスリリングな吊橋。とても日本とは思えない。

百科だから、科学的な知見もいっぱい詰まっている。北アルプス独特の地形やその成り立ち、気候、植物や動物などの生態、加えて観光や登山ルートなど、さまざまな切り口で北アルプスをとらえている。知的好奇心を十分満たしてくれる内容だ。

でも私は、知的好奇心よりも、見て楽しむ写真の美しさ、楽しさを重視したい。とにかく前述の写真はすばらしいの一言に尽きる。著者の岩橋崇至氏は、ロッキー山脈の写真家として有名だが、この北アルプスの写真群も評価が高い。四季折々の北アルプスの風景を撮るためには、何度も何度も彼の地に足を運んだことだろう。その労と一瞬の美しさを切り取った審美眼には敬服する。

一家に一冊保存用に、あるいは雨の日に眺めて楽しむ本として蔵書にいれておきたい。それにしても見れば見るほど北アルプスに行きたくなる。

北アルプス大百科
クリエーター情報なし
阪急コミュニケーションズ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« カッコソウの鳴神山 | トップ | 節刀ヶ岳・鬼ヶ岳 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

山・ネイチャー・冒険・探検の本」カテゴリの最新記事