目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

「わだば日本のゴッホになる」の棟方志功記念館へ

2019-09-21 | まち歩き

 入館料500円

棟方志功記念館を20数年ぶりに再訪した。前回は忘れもしない、台風に振り回されたときだった。小樽から新潟行きのフェリーに乗る予定だったのに強風により欠航となり、払い戻しを受けて小樽から函館へ移動。キャンセル待ちに並びギリギリフェリーに乗れるかというところでアウトになった。風雨が激しくなるなか、函館のフェリー埠頭で身を縮こませ、待合室にいたり、車に戻ったりを繰り返していた。

風雨が収まった未明になって、フェリーが動くとアナウンスが入り、たしか4時くらいに乗り込んで青森に渡った。こうしてだしぬけに青森から東京まで車で帰ることになったのだった。しかも当時は軽自動車、HONDAビートに乗っていたから、一所懸命アクセルを踏んで東北道をひたすら走り抜けたのを覚えている。

さて、青森に上陸し、このまま帰るのはもったいないと、昭文社の道路マップに目を凝らした。当時はカーナビなんて豪勢なものはなかったので、検索することもできない。道路マップで面白そうなところはないかと探して目に止まったのが、この棟方志功記念館だった。

再訪してみて、こんなに小さな建物だったかと前回のことをほとんど覚えていないことに、われながら驚いた。展示室の前では、ご案内映像を四六時中ループで流しており、ほとんどの来館者は熱心に見ていた。山の神と私もそれに倣いディスプレイの前の椅子にどっかと腰を下ろした。

この映像を見ていて、私は記憶の断片が蘇ってきた。志功じいさんのせっかちなふるまい。たとえば子どもたちの版画の審査をするにも、散策するにも、そして絵を描くときも、まるで時を惜しむように「スピード命」の姿勢を貫いている。キャンバスに向かったときの筆の速さはカーレーサーなみで滑稽なほどだ。そしてなによりも印象的なのは、板木(版木)を彫るシーン。ど近眼のため、板木に頬ずりするくらいめいっぱい近づいて彫っている。棟方志功に興味がある方なら、そのシーンを必ず1度ならず見ているだろう。

映像を見た後、山の神と展示室へ移動した。こぢんまりとしたスペースで展示作品は多くない。生前志功は展示作品数を減らし、入れ替えを多くするように指示していたようだ。このときには志功の代表作品である「二菩薩釈迦十大弟子」や、鷹の倭画などが飾られていた。

やはり、個人的には板画(志功は版画ではなく、「板画」という呼称を好んで使っていた)がいい。なんともいえない味わいがあって、構図も独特。とくに「二菩薩釈迦十大弟子」は素通りできないオーラを発していて、ためつすがめつ見ることを強いられる。いずれまた思い出せば観賞したくなる作品であることは間違いない。

 

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