Part1のつづき
コースタイム 9月24日 三伏峠小屋テント場5:18--6:13本谷山6:23--7:33塩見新道分岐上部7:42--7:56塩見小屋8:00--8:25岩場休憩8:35--9:08西峰--9:16東峰--西峰9:36--10:40塩見小屋11:00--12:10本谷山山頂直下12:15--12:30本谷山(昼食)13:05--14:05三伏峠小屋テント場
三伏峠小屋の消灯は19:00と早い。塩見岳を往復する人が圧倒的に多いからで、昭文社の山地図2005年版のコースタイムを単純に足していくと、8時間50分になるロングコースだ。だから朝食も4:00からと、他の山小屋に比べ格段に早い。必然的に日暮れとともに、テント場の喧騒もフェイドアウトしていく。山の神と私も翌日の4:00起きにそなえ、早々に就寝とする。というより、日ごろの寝不足と重い荷物を運んできた重労働で、あっという間に眠りに落ちた。
3:00台から出発していく人がいるなか、山の神と私は予定どおり4:00起床。まだ夜明け前であたりは暗い。ヘッドランプの中、朝食をとり、テント場をあとにした。時計をみると、5:18。だいぶ空は白んできて、天上の星もだいぶ姿を消してきている。
左:出発時には三日月が中天にあった 右:振り返ると、三伏峠小屋
樹林帯を抜けて、三伏山に出る。山頂でご来光を待っているのだろうか。何人かが、山頂で日がまさに出ようかという方向をにらんでいた。モルゲンロートがあたりを赤く染めていく。伊那谷の一部に雲海が出ている。
いったんなだらかに下って歩いていくと、登山者がそこここにいる。再び上りが始まり、息をはずませながら高度をかせいでいく。昨日に比べれば、荷物が軽い分、足取りも軽い。ハイマツ帯の上に本谷山(ほんたにさん)山頂があった。ほかの登山者もしばしここで休憩。
左:山は早くも冬の装い。霜がおりた 右:朝日のなか樹林帯を行く。右側には塩見岳が(いちばん下の写真)
本谷山を下っていくと、立ち枯れた林が出てきて、右側に塩見がでんと見える。登高中、ここだよ、早くおいでよとばかりに時々塩見が顔を出すのだが、ここからもかなり間近にきれいに見える。
薄暗い樹林帯を歩き、細い沢筋を渡った頃、団体さまがいた。後から知ったのだがツアーだった。さらに下山時にもう一組の団体ツアーの面々がいた。毎度思うことだが、きちんとしたリーダーをつけて小グループに割って、歩いてほしいものだ。狭い登山道で追い越すのは大変だし、せっかく追い越しても休憩している間に追いつかれてしまうと、また同じことを繰り返すことになる。それが嫌で休憩を控えたり、オーバーペースで歩いたりと影響大なのだ。たまに傲慢にも、後ろから声かけてどんどん追い越していってくださいなんていわれると、怒り心頭になったりする。
今回は狭い岩場を下るときに、数人(じつは20名以上の団体)が登ってくるのが見え、スペースがあるところで待っていて、どうぞとやり過ごそうとしたのだが、団体のリーダーに先に下ってくださいと強く促された。そこへ行ってみると、人ひとり通れる分くらいしかスペースがない危ない箇所だった。気を遣って一般登山者を先に行かそうとしたのだろうが、明らかな判断ミスだ。こうしたツアーはコスト優先で、なおかつ一般登山者からのクレームを極端に恐れる傾向にあるけど、もろにその弊害が出たといえないか。事故の温床になっていると思うけど、実際事故が起きないと、何も変わらないのだろう。
塩見新道分岐を越えた少し上に休憩スペースがあり、そこで給水。せっかく追い越した団体がまた先に行ってしまった。でも塩見小屋で団体さん休憩となり、ここでまた追い越す。
塩見小屋から天狗岩を越えていくと、目の前には屹立した岩稜が現れた。登山者の色とりどりのウェアが点描のようにポチポチと見えている。登るのは大変そうだ。思ったとおり、岩場でバテて小休止をとる。
9:08西峰に着いた。西峰には数人がいたが、ふと東峰のほうに目を転じると、そこには大挙登山者が押し寄せているように見えた。東峰のほうが若干高いからなのか。東峰のはるか向こうでは、富士山が雲海の上に頭を出している。特等席ともいえる富士山を真正面に見る岩のベンチにはすでに先着様がいた。そこに座りたいと念じても、立ち上がる気配はまったくない。あきらめて東峰へ移動開始。尾根上で雲海の富士を一枚パチリと。
東峰は人でごった返していた。あふれ出た人が北股岳方向へ少し下ったところにいて、昼食をとっていた。仙丈へ向かう尾根、仙塩尾根を歩いている縦走者や蝙蝠へ向かう人はいるのかと、目を凝らしてみたが、見つけられなかった。皆塩見岳ピストンのようだ。
左:東峰の標柱。なぜか横倒しに 右:なだらかな尾根の先に蝙蝠岳(中央のピーク)。一度行ってみたい
山頂の絶景を堪能して、9:36下山開始。塩見小屋に下りる。ここのトイレは有名で、ヘリで汚物を下ろすので、専用のビニール袋で用をたし、決められた場所にそれを捨てなければならない。それが嫌な人は三伏峠に泊まることになる。注意すべきは、塩見小屋は小さい小屋なので、要予約になっていることだ。食事なしでいいからといっても、泊まれる人数にかぎりがある。
11:00塩見小屋を後にする。行動食をぱくぱく食べていたせいでお腹空いてないし、メシはどうしようかと山の神に問いかけると、本谷山まで行こうとなる。塩見から本谷山は思ったより遠かった。休憩なしで行ってしまうつもりでいたが、ほんの手前で渇きに勝てず給水休憩をとる。
12:30本谷山でカップめん昼食。これから登っていく人たちも休憩していた。この時間だと塩見小屋泊まりなのだろう。
13:05本谷山を出発。三伏沢に下り、水場でまた2リットルタンクに水を入れるべく、沢への分岐を探しながら下り始めた。