2001年9月2日(日) くもりときどき晴れ |
メンバー 山の神と私
コースタイム 9:25小赤沢コース3合目駐車場9:35--(9:55 4合目)--10:30休憩10:40--11:25 7合目11:35--(9合目12:00)--12:08平太郎尾根分岐(昼食)13:00--13:40苗場山山頂14:20--15:15 7合目15:25--16:05 5合目16:15--17:00駐車場
美しい高層湿原と池塘の山、苗場山は、山の神ご推奨の山だ。山頂までの最短コースであり、日帰りコースである小赤沢コースをピストンで登った。
4:30頃に都内を出て、関越を走る。塩沢石打ICで下り、津南町へ。405号に入り中津川渓谷沿いに車を走らせる。山中の狭い道をしばらく進むと、ようやく山あいに小さな集落が出てくる。予想以上に山深いところだ。
左折して登山口への道を上がっていく。途中から未舗装になるが、登山者はそんなことはものともせず上がっている。3合目の駐車場(写真)に到着してみると、かなり広い駐車スペースに、もう車はあふれかえっていた。かたわらに立派なトイレがある。
9:35駐車場を出発。曇り基調の天気で、ときおり青空がのぞく。登山道は間断なくぬかるんでいて、スパッツ嫌いのわれわれのズボンの裾に泥は容赦なくポチポチと跳ね上がる。
途中2度ほど休憩をはさんで、山頂一帯の高層湿原帯に入った。平太郎尾根と合わさる分岐で昼食にした。池塘がそちこちに点在し、湿原の風景はいつ見ても癒される。
山頂あたりに来ると、だいぶガスに包まれてしまっていた。13:40苗場山の山頂に到着した。山頂といっても、ピークといった感じはなく高層湿原の真ん中で、山頂ヒュッテとか遊山閣(現在休業中のもよう)のあたりの平地っぽいところにぽつねんと山頂碑が立てられている。
ヒュッテのきれいなトイレを借りて(¥100)、ヒュッテ前の簀ノ子状のウッドデッキで休憩する(冒頭の写真)。ここに少なくとも30分くらいはいて、今思えば長居しすぎだな。
まだ9月になったばかりだが、草紅葉が始まったようだ。茶を帯びたこの湿原の色。グラデーションがかった色合い(2段下の写真)も遠目にみると、なかなか風情があっていい。
山頂付近にはなぜか役行者の碑が岩の上につくられていた。この山にも役行者伝説があるのだろうか。ちょっとだけ興味をそそられる。
左:リンドウ。やっぱりもう秋の気配 右:この山にも役行者(えんのぎょうじゃ)
あたりにはさらに白くガスがたちこめて、たちまち薄暗くなった。14:20これを潮時に山頂をあとにする。もう夕暮れのような暗さで、心細くなってくる。
来た道を忠実に戻っていく。同じ道でも視線の方向が正反対だから、池塘の位置も違って見え、違う場所を通っているようで面白い。
草紅葉チックな湿原と池塘。これに澄み渡った青空があれば最高だったのだが
17:00駐車場に戻ると、車は5,6台を残すのみで、帰り支度の人が3組いた。われわれが靴をはきかえていると、1組下山してきた。登山者で大盛況の山も、静寂をとり戻し始めていた。
山の神と私は、赤茶色の湯が特徴の小赤沢温泉、楽養館に立ち寄り、汗を流した。¥500。今なら考えられないくらいののんびりモードで、湯から上がると、当然ながら外は真っ暗だった。
帰り道は今まで経験したことのない恐さだった。楽養館を出て車で走り出すと、あっという間に民家は途絶え、電燈などの明かりがいっさいない真の闇につつまれた。ときおり、車道に出てくるタヌキや鹿の目が車のヘッドライトで照らされて異様に光る。あれは、ホラー映画に出てくる悪霊の目だ。そのうち廃村跡の横を通る。秋山郷には、浅間山噴火によって起きた天明の飢饉で餓死し、村がまるごとなくなった廃村跡があるのだ。道端にぼろきれをまとった農民がうずくまるシーンが脳裏をよぎる。思わず背筋が寒くなった。日が暮れてから一人では通れない道だ。