2020年2月16日(日)放送のNスペ「巨大地下空間 龍の巣に挑む」を視聴した。
以前のNスペでラオスの洞窟探検をやっていたけれども、そのときにホールの容積が世界最大なのは、中国の苗洞(ミャオドウ)で東京ドーム9個分と紹介していた。中国の巨大地下空間といえば、きっとここのことだろうと思ったが、図星だった。場所は貴州省、少数民族の苗(ミャオ)族からはミャオティンと呼ばれている。
番組では、30年ほど前にこのミャオティンを訪れていたフランスの洞窟探検家ジャン・プタジ氏や日本の地質学者浦田健作氏(日本洞窟学会の会長を務めていた)、中国地質科学院・張遠海教授ら総勢29名の洞窟探検をルポした。まずは川になっている入口からボートで中に漕ぎ出していく。すぐに墨を流したような漆黒の闇に閉ざされる。上陸して頼りなさげなヘッドランプの明かりで慎重に進んでいくが、どうしようもない暗さは足元を危うくするし、先の見通せない上りや天井からと思われる岩の崩落、そして道迷いなどで困窮を極める。
そんななかでも、高さ37メートルに達する巨大石筍を発見し、そのスケールの大きさに度肝を抜かれる。1年に0.1ミリずつ成長するというからざっと計算して37万年の月日を要している。途方もない時間の経過だ。
2回目の探検では、初回時360度にレーザーを照射して得られた3Dスキャンデータをもとにホール全体を照明で照らす計画をたて実行した。北京五輪で照明担当をしたスペシャリスト韓冬冬氏が参加し、洞窟内に膨大な量の機材を持ち込む。結果は大成功で、巨大なホールを闇から解放し、昼間のように明るく照らしだした。
地質を目視で確認できるようになり、地質学者の出番となる。浦田健作先生の見立てによれば、この洞窟の成り立ちは、石灰岩の大地に亀裂がはしり、雨水がその亀裂から地中にしみて石灰岩を少しずつ溶かしていく。やがて地中に水が集まり、低いほうへ流れて川となる。その流れは浸食を繰り返しながら徐々に大きくなり、空間を広げていく。やがてその空洞に重みに耐えきれなくなった天井部が崩落して空間はさらに大きくなる。この繰り返しで巨大化したと推測した。
そうなのか、すごい成果だと思って、番組終了を予感したのもつかの間。プタジ氏が空気の流れに気づき、その出どころめがけて移動すると新たな空間が現れた。そこは3Dスキャンされていない未知の空間、つまり照明が当たっていない場所だ。しかも半端ない広さの空間があるようだった。番組はここでジ・エンド。
ここで終わるのかともやもやが残った。次の調査はいつなのだろう。その先はいったいどうなっているんだ。