はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

<font size="-3">古川日出男「ルート350」。</font>

2006-06-19 00:37:39 | 日記・エッセイ・コラム
いつの間にか出版されていた古川日出男の新刊「ルート350」を購入しました。
あとがきで作者本人が『はじめての純然たる短編集』と述べているように、古川氏ならではの形容とテーマに満ちた良質の短編集。
ひとつひとつの作品はとてもコンパクトで、書籍としてのボリュームも少ないほうだと思いますが、「サウンド・トラック」を思い起こさせるような作品もあったりと、内容は異様に濃密。
とりわけ冒頭の「お前のことは忘れていないよバッハ」は古川氏らしく秀逸です。
ちなみに、私にとって一番印象的だったのはあとがきの言葉。
『ある意味で、僕はデビューから八年間、ずっと同じ小説ばかりを書いている。
 それが誠実なことかどうかは、判断するのは僕ではないけれど。』
私が氏の作品に対して抱いていた印象を、作者本人も自覚なさっていたという事実に感慨。
氏の誠実さは大きな魅力のひとつ。
これからも追い続けてゆこうと思います(笑)。

この「ルート350」は、氏の出世作「アラビアの夜の種族」や「ベルカ、吠えないのか?」とは質を異にした作品。
しかし、「沈黙」や「アビシニアン」、「サウンド・トラック」が好きな方にはおすすめ。
気になる方は下のamazonリンクから様子をうかがってみてください(笑)。

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