はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

東京遠征11/23。

2006-11-24 08:48:20 | アートなど
昨日11月23日は、東京でイベント1件と上映会1件、展示会を1つ観て参りました。

とりあえずメモ的に。
・丸ビル 7Fホール 「明和電機会社説明会」
 慶応大学オープンリサーチフォーラムとの抱き合わせイベント。デジタルアートアワード授賞式の記念講演的な位置づけで明和電機の会社説明会が行われたもの。明和電機代表取締役 土佐氏による約1時間のプレゼンテーション。スライドショー、ビデオ、パチモクやサバオによるパフォーマンス、質疑応答。
質疑応答の中で「明和電機はどこを目指しているのか?」という質問に対し、「自分の中の分類不能なごちゃごちゃしたよくわからないものを表現するためのフィールド、入れ物が『明和電機』や『エーデルワイス』であるので、自分でもよくわからない。もっといろいろな表象を経て最終的には何でもありの統合世界になればいいなと思っている」という趣旨の社長の言葉に妙に納得。
説明し難いモノ、未だ世の中にないモノを具現化させようとしたとき、その表象を定着させるための手法、媒体がアートになるのかなと腑に落ちました。形態は違えど、明和電機は佐藤雅彦氏と中村至男氏の『勝手に広告』と同じ意味合いを持つものなのだなと感じました。

・ラフォーレ原宿 「RESFEST2006 『RESMIX SHORTS』」
 RESFEST2006のうち、日本のショートフィルムを集めたプログラム。
 元々ショートフィルム好きなのと、NAMIKIBASHIに興味を持っていたのとでこの回を鑑賞。
 NAMIKIBASHIの「折り紙」も面白かったのですが、マイベストは『昭和ダイナマイト』。ごく普通の中小企業が町の平和を守るというシチュエーションだけで既に面白いのに、登場するモチーフや細部がことごとく私のツボをヒット。最高です。シリーズがあったら映像が欲しいなと思いました。
 他にクラクラしたのが、「TONER」と「RAPID MOVEMENT」「停止円」「TRAIN」。
「TONER」は音と図形とのシンクロ具合が心地良い。
「RAPID MOVEMENT」は、ズームアップによるミクロの世界と具象的なマクロの世界とが実写とCGを併用して混在するという非常にエキサイティングな映像。貨幣や羽根のどアップと分子のようなパーティクルと小さな羽毛が同じ画面に入っているなんて、もうそれだけでクラクラきてしまいました。
「停止円」は、人工物である写真の中の赤い円を固定し、逆に周囲の風景を相対的に配置したコマ撮り映像。コンセプトは良いし、外側世界が写真へ侵入してゆくアイデアも良いけれど、いまひとつコンセプトを描ききれていないのが惜しい。ループ構造を利用するなど、もうひと工夫あれば絶品のクラクラ映像になっただろうなと思えるだけにとても残念。
「TRAIN」は電車のループ映像を利用してリズムを刻む、非常にユニークな映像。電車を2分の1→4分の1→8分の1→・・・と分割してゆき、分割された電車の幅で音声=リズムを表現。三三七拍子やカエルの歌はまあ普通ですが、輪唱が始まったときには面食らって『すごい!すごいぞ!』と喝采したくなりました。最後のクレジット映像には、佐藤雅彦研究室の佐藤匡氏の映像作品「反復かつ連続」を電車で再現したような表現があってニヤリ。

・青山スパイラル「NSKベアリングアート展」
 工業製品であるベアリングをモチーフにしたアート作品を集めた展示会。日本精工主催。
 無料とは思えない充実のラインナップ。とにかくすごい。
 ベアリングの回転や形をモチーフにした作品から、ペアリングの中に使用するベアリングボールを利用した驚きの作品までじつに多様な内容でした。特に印象に残った作品をいくつか。
 名和晃平氏の、磁石を利用したベアリングボールオブジェや、流れる極小ベアリングボールを使ったPIX-Cellシリーズ作品には目を奪われました。まるで水滴のような粒が正方形のマスを流れる様子はとても美しく幻想的。
 鈴木康広氏の、気流を利用してベアリングボールを空中に保持する装置、これも非常に面白い。空中でくるくる回るベアリングボールは幻想的でどことなくユーモラス。
 日比野克己氏のベアリングの海、これはもう文句なくアイデア勝ち。ベアリングボールを敷き詰めた『海』にタライの船でこぎ出す小冒険が体験できます。笑いが止まりませんでした。
 川瀬浩介氏の「ベアリンググロッケン」。これは、この日に観たあらゆるものの中で一番感動した作品。ベアリングボールを落下させて鉄琴を奏でる装置なのですが、鉄琴ユニットにぶつかったボールがきれいな放物線を描いて一列で4つの音を奏でる、その正確無比な動きと、4列の鉄琴が奏でる音楽が非常に美しく、視覚的にも聴覚的にも物理的にもたいへん美しい装置作品でした。
 あのような 『音楽』が実現するためには、電子制御で落下タイミングを厳密に規定すること、跳ね返るボールの滞空時間を均一にすること、ベアリングボールが真球であること、落下先の鉄琴面が限りなく平らで水平であること、などなど、実に多くの技術的問題をクリアせねばならないはず。それをあのような形で見事に、しかも美しく実現していることに、すっかり感動してしまいました。あの作品は計り知れないほどの努力と技術の結晶なのではないかと思います。
 ボールが跳ね返るたびに放物線の頂点が次第に低くなってゆく様子、常に正確無比な着地位置とタイミングを保っている様子、いくら観ていても飽きません。アディクトしてしまいそうな勢いです。
 理工系でアート好きの方や、物理法則の好きな方、科学未来館の「インターネットの物理モデル」が好きな方、そして、ピタゴラ装置にときめいてしまうような嗜好の方々には絶対におすすめです。
 なお、この「ベアリングアート展」の会期は26日(日)まで。
 少しでも興味のある方はお早めに!

そういえば、ラフォーレ原宿から青山スパイラルへ移動する途中の右側にルイ・ヴィトンのお店があって、そこになんと! オラファー・エリアソンの作品がディスプレイされていました!
すごい、すごいぞルイ・ヴィトン!
小さな太陽のような単一波長ランプと鏡からなる作品で、お店と一体化していました。
写真はのちほどアップしますが、とりあえず。
エリアソン好きは要チェックです。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ベアリングアート展先ほど行ってきました.同じく... (アオキ)
2006-11-24 22:54:17
ベアリングアート展先ほど行ってきました.同じく「ベアリンググロッケン」を見入っておりました.いつもは工業製品見本市でお見かけするベアリング.いつも陰でお世話になっている部品が,その精度を惜しげもなくアピールしていたことがうれしく思います.

ベアリング組み立て講座もありましたけど,体験されました?
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>アオキさま (aiwendil)
2006-11-25 09:27:30
>アオキさま
おおっ、行かれましたか!
ベアリンググロッケン、素晴らしいですよね。
あの動きと音が今でも頭を離れません。

ベアリング組み立て、もちろん体験いたしました。
そして、解説に立ち会っていた企業の方を質問攻めにして困らせました(笑)。
ああいった展示を観てしまうと、その製品の作り方が気になってくるではないですか(笑)。
体験コーナーのベアリングでも、ボールは一万分の1ミリの精度、とおっしゃっていたので、100nmオーダーの世界なんですねえ。
0.3ミリのベアリングボールになると、いったいどんな精度なんでしょうね。気になります。

以前、研究室で超音波式のホモジナイザーを使っていたので、ベアリングには何となく親近感がありましたが、今回の展示でさらに魅力にはまりそうです。
NSKさんの思うツボですね(笑)。
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