はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

東京遠征6/24。(東京都現代美術館「マルレーネ・デュアス-ブロークン・ホワイト-」「東京ワンダーウ

2007-06-24 19:57:39 | アートなど
本日6月24日は、東京木場の東京都現代美術館で3つの展示を観て参りました。

まずは、「マルレーネ・デュアス _ブロークン・ホワイト」。
南アフリカ出身のオランダ在住画家マルレーネ・デュアスの企画展です。
独特なタッチで主に人物のポートレイトを描くデュアス。
『いま私たちの怒りや悲しみ、死や愛といった感情をリアルに表現してくれるのは写真や映画になってしまった。かつては絵画が担っていたそのテーマをもういちど絵画の中に取り戻したい』という氏のコメントが示すとおり、非常に明確なテーマ性をもった作風の画家です。
キャプションによると、現存する女性画家作品の最高落札額記録保持者として世界で注目を浴びているのだそうです。
たしかに、決して奇をてらったわけではないのに一度見たら忘れられないインパクト。
彼女の作品はかなりの強度を持っているように思えます。
私の個人的感想としては『恐い! エロス! 劇的!』の3語に尽きます。
個人的には決して好きとは言えないけれど、好悪を越えたところにある価値を持った作品のように思えました。
生命や身体をグロテスクに捉える視点には、どこか束芋氏と通じる部分もあるような気がします。
東京都現代美術館の企画展にしては作品数は少なめですが、他作家とのコラボレーション作品などもありました。
料金も高めですし、かなり好き嫌いの分かれそうな展示ですが、様々な表現に触れてみたい方や現代芸術全般に興味のある方にはおすすめかもしれません。

つぎに、「東京ワンダーウォール2007」。
東京都主催の、若手作家コンペの入賞作品展。
企画展示スペースの地下1階を贅沢に使った展示でしたが、私にしては珍しくかなり辛口の感想を抱きました。
どこかで見たような表現が多くて圧倒的な個性は見受けられず、とりあえずそれっぽくまとまってはいるものの、少し稚拙で、悪い意味での隙のある作品が目立ちました。
正直、選考基準がよくわからない。
内輪受けの香りがしていたたまれなくなってしまいました。
現代の若手作家たちがいくらネットやコピー世代の人間だからといって、これほど実力がないとは思えません。
美大の卒業制作展のほうがずっと面白いのではないでしょうか。
もしも有料展示だったら怒りを覚えていたと思います。
もちろん若手作家ということで、『惜しい!』と思える良作もたくさんありました。
作家さんたちに非はありませんが、もっと直接批評・感想をやり取りできる場所での展示のほうが、出品作家さんたちにとってもプラスになるのではと思えます。
この展示を東京都現代美術館のスペースで大々的に行う意義があるのかどうか、現代美術に対するおかしな偏見を広めてしまう恐れはないのか、等、いろいろな疑問を抱いてしまいます。残念ながら私の中では、今までに見たあらゆる展示の中で『困った展示』堂々第一位です。

最後に、「常設展Motコレクション2007年度第1期 特別公開 岡本太郎『明日の神話』>>」
2007年度の常設展1期展示。
体験型の作品や、会田誠の作品、そして大竹伸朗の「ゴミ男」などインパクト絶大な作品が多数。特別展では岡本太郎の壁画「明日の神話」が贅沢に室内展示されていて圧巻。鑑賞環境は汐留のテレビ局の時よりも格段に良いです。
入口ホールの2作品や「明日の神話」は撮影可なのも嬉しいポイント。
また、個人的には最後の展示室に会田誠の「スペース・ウンコ」「スペース・ナイフ」、八谷和彦の「スカイボード」、ヤノベケンジの「アトムスーツ」、そして宮島達男のLED作品が勢揃いしている状況が面白すぎてかなりテンションが上がってしまいました。
ヤノベケンジの「太陽の塔乗っ取り計画」ともうひとつの映像作品も秀逸。
わたくし個人的には企画展よりもこちらの常設展Motコレクションのほうが格段におすすめかもしれません。

10時過ぎからゆっくり回って館を出たのは15時少し前。
4時間半ほどの鑑賞でした。
ところで、帰り際にチケット売場前を通ったら何故か長蛇の列。
ここでこんな光景を見たのは初めてだったので驚きました。
岡本太郎効果なのでしょうか。気になります。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
aiwendilさん、 (紺洲堂主人)
2007-06-24 22:43:24
aiwendilさん、
お久しぶりです。紺洲堂です。
私も偶然ですが、今日、東京都現代美術館に行っていました。時間は14時ぐらいからでしたらので、もしかすると館内ですれ違っていたかもしれませんね。
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>紺洲堂主人さま (aiwendil)
2007-06-25 01:01:00
>紺洲堂主人さま
お久しぶりです!
なんと、それは確実にニアミスしていますね。
そのぐらいの時間帯ですと、おそらくヤノベケンジの映像作品のあたりかミュージアムショップかエントランスに居たはずです。
世の中、案外狭いものですね(笑)。
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