赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

米中首脳会談 詳報

2023-12-14 00:00:00 | 政治見解



米中首脳会談 詳報 :231214情報

米中首脳会談については、「米中戦争が、つかの間の休戦となった」とお伝えしましたが。その詳報が国際政治学者から寄せられましたので、改めてお伝えします。重複部分がありますが、ご了承ください。


米中首脳会談が11月15日に型通り行なわれ、会談時間をマスコミは4時間と言っていますが、実質上2時間半です。確かに昼飯を食べる時間も含めたら4時間でした。この内容として大きなことは暫定休戦協定という話です。すぐに米中間で戦争が盛り上がらないということは大変良かったと思います。台湾海峡からチャイナが台湾にすぐ攻めてくることはないということです。

これはチャイナの方も経済が悪いということで、習近平も基本方針は書いてないのですが、未だに投資してくれるところは投資してほしいと言っています。胡錦濤時代や江沢民時代のように改革開放という昔の政策に戻れば、西側の企業も大投資をするでしょう。そういうことではなく鎖国的・社会主義的の政策を進めているから戻らないし、とにかく経済が悪いので小休止が必要だということです。

この首脳会談では夕食会もないし、共同記者会見もなかったので、中身がいかに少なかったかということがわかります。非常に成果があった場合は両国首脳が出てきて共同記者会見を開いて共同声明も出ますが、その両方ともなかったのです。今回は自分の国でやったので、バイデン大統領だけが喋りました。

しかし、唯一の確実な成果は「すぐには戦争しません」というニュアンスで習近平が話をしたということです。これで米中関係が良くなったわけではないけど、台湾危機がすぐには浮上しないということになります。

これは台湾の選挙で今トップを走っている頼清徳にも有利ということですが、彼は独立色を明確に出しているため「戦争するぞ」という脅しを強烈にかけてくるのではないかと思っていました。ところがチャイナ側がそれをやらないと言っているようなものです。頼清徳も攻めの姿勢に転じて、とにかく独立色を強く出して「万が一攻めてきたときにも徹底抗戦する」と主張する独立派のいる方が、台湾は攻められにくいと言えます。

だから台湾の平和を守るためには、しっかりした独自色を出している自分こそが平和を守る候補であるということを彼は言い始めました。

民進党の頼清徳も平和問題で攻めに転じてほしいです。国民党の候補が総統になったら、共産党が攻めてきても簡単に降伏してしまいます。そういう政府や弱い総統のもとでは、チャイナ共産党の方は攻めやすいわけです。相手がすぐに降伏するとわかっていますから、そういう候補が逆に戦争を引き起こします。強い候補が平和を守ると言ってほしいと届けました。これは私の声が届いたのかどうか知りませんが、翌日から頼清徳が平和と戦争の問題に対して、攻めに出てきたのです。

そして実際、11月15日の米中首脳会談で習近平がおとなしい態度を見せたので、相変わらずアメリカの「航行の自由作戦」をチャイナが妨害していますけど、トップレベルとしては、攻める気はないという姿勢を見せました。それで台湾総統選挙も頼清徳にますます有利ということになっています。

それから蔡奇という人が出てきました。今回の米中首脳会談は異例のことだったのですが、短期間に決まったので大した成果もなかったのです。その中で蔡奇が表に出てきたというのは面白いことだと思います。チャイナは今、国防大臣がクビになって不在の状態です。外務大臣は王毅がやっていますが、国防大臣がいません。だから首脳会談もやりにくいというのが普通です。

習近平としては10月下旬に大粛清やりました。李克強も死にましたが、これはおそらく反習近平派の中の仲間割れで殺されたと私は推測しています。これは習近平が殺したわけではないでしょう。でも大粛清をやって、軍の方で信用できない奴のクビも切りました。党の方も引き締めたということで、安心して出てこられるようになったのです。

それでも国交大臣がいないわけですけど、その代わりに当日の米中首脳会談のテーブルで習近平のすぐ横に座っていたのが蔡奇でした。表向き言えば官房長官ですが、彼は中央弁公庁のトップであり、この人は特務で諜報機関畑の人です。スパイが表に出ていると言っても良いでしょう。

対台湾に対しても、すぐは攻めないということですが蔡奇をトップに立たせて使って、じわじわと絡めてから裏の方から台湾の政治に手を突っ込んでいくという、いやらしいやり方をやろうとしているのが習近平です。習近平は特務を表に出して外交をやらせるという形にしています。この蔡奇が習近平の横に座って米中首脳会談に臨みました。バイデンとブリンケンに向き合うようなところにいたのが蔡奇です。

彼は福建省出身の人で、福建語を話せます。福建省というのは台湾の目の前にあるということで、台湾には福建人が来て泊まる福建会館というのがあるそうです。表向きは福建師範大卒の蔡奇ですが、海外留学経験もないですけど、キャリアを見ると完全に諜報畑の人であります。この蔡奇がいれば大丈夫だと、彼が外交も仕切っていることを示すかの如く、習近平の横に座って米中首脳会談に臨んだということです。

この蔡奇というのがキーパーソン、習近平政権の事実上のナンバー2だと申し上げました。それが見てわかるような形で米中首脳会談に現れていたということです。

本当はアメリカ側が有利ですから、もっとチャイナを攻めていってもいいのですけど、アメリカが妙に低姿勢となっています。

この理由は単純明快ですけど、バイデンが尻尾を掴まれているからです。バイデンとバイデンファミリーには、チャイナ側から大量の賄賂が渡っています。表向きはビジネス上のお金ということになっていますが、主に息子のハンター・バイデンがもらっているのです。そのお金の一部を分け合っていることも発覚しています。

チャイナ側が動かぬ証拠もあると言って出されたら、バイデン政権は支持率が一気に落ちて不利になってしまうでしょう。それは出さないでほしいということで、バイデンの方が低姿勢ということです。

それと、またバイデンの老人ボケが出たかもしれません。その辺りの情報をチャイナ側が出さないで、うまくやってくれたことを喜んだのか、習近平に抱きついてキスをしようとしたり、おかしな行動を示していたりしました。ブリンケン国務長官が冷や汗をかいて見ているという感じだったのです。

習近平は首脳会談の後にサンフランシスコへ戻ってきて、アメリカの財界人や経済人とご飯を食べていました。そこには親中派の企業の人たちが参加していたということです。とにかく内容はなかったけど形式を重んじてほしいということで、米中両大国が世界を仕切っているという印象を与えるような外交儀礼としてはきちんとやっていました。これに対してはチャイナ側からのリクエストが非常に多かったようです。

そのことについてアメリカ側がチャイナ側のリクエストを全部受け入れる形で、儀礼的には米中対等というところを演じてみせました。それから夕食会に出たのはアップルのティムクックCEOのほか、会社の名前でいうとクアルコム、ボーイング、ファイザー、VISAカード、マスターカードなどの首脳陣が参加していたようです。金融系ではブラックロックやKKRの幹部も出席していました。クアルコムという会社は、2023年9月期の売上高でチャイナの占める比率が62%となっているので、ここは出ないといけません。

これが話題を呼んでいて、習近平と同じテーブルで飯を食うのに4万ドルを払わないといけなかったそうです。同じテーブルと言っても丸テーブルで10人とかではなく、何十人も座れるような細長いテーブルでした。おそらくチャイナの外務省の方で割り振って「お前のところは出てこい」と言って決めたと思うのです。同じテーブルと言っても、端同士では話が通じないような大きなテーブルだったので、見ているとおかしいなと思いました。

チャイナの中を見ていますと、おそらく習近平に「対台湾侵略を早くやりなさい」と言って仕掛けているのは反習近平派です。それを習近平に早くやらせた上で失敗させて、彼の没落を図ろうとしているのでしょう。つまり習近平を権力の座から引きずり下ろそうとしているのです。

習近平としては台湾を攻めて取れるものなら、すぐにでもやりたいけど、失敗したら自分の権力を失うことがわかっているから慎重にしているのでしょう。短期的には米中戦争を避けることができました。我々の台湾シンポジウムも何かの役割があったのかもしれません。とにかく習近平は今慎重になっているということです。それで台湾が安全になるのかというと、そのようなことはありません。長期的には台湾を狙って取りに行くでしょう。それは長期的に裏で蔡奇のような諜報機関を使って、台湾政治、台湾社会の中に手を入れてくるという、いやらしいやり方をしているのでしょう。

これについては、2028年の総統選挙に向けてチャイナ側の仕掛けが既に始まっているのです。今度の選挙では立法委員で民進党に多数派を取らせないということに力点を置いているのではないかと見ています。民衆党と国民党の総統選挙候補者統一もやりたかったのでしょうけど、これはできませんでした。今回は頼清徳が勝つのは仕方ないと言って諦めていたようです。

しかし、究極的には諦めておらず、ねじれ国会にして立法委員で民主進歩党(民進党)を少数派に落とし込もうとしています。そうなると思い切った政治ができないので、頼清徳は頑張っても4年後の再選が難しくなるかもしれません。

そのとき、一挙に国民党の候補で総統の座を取りにこようという腹で、その総統候補ナンバー1は蒋介石のひ孫と言われている蔣万安・現台北市長というシナリオのようです。蔣万安の父が少なくとも2回は、習近平の自宅で接待しています。だから話は出来上がっているということではないでしょうか。彼らは長期戦で来ています。

短期的には台湾の安全は確保されたということですが、安心はできません。焦点となる総統選も大事で油断はできませんが、やはり立法委員の選挙で民衆党が1議席でも多く取ることがないと安心できないという状況です。




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