世界的な「保守の躍進」と原発の相関関係:231215情報
国際社会の政治トレンドは、リベラリズムやグローバリズムから「保守回帰」の傾向を示しています。イタリア初の女性首相ジョルジャ・メローニを皮切りに、ヨーロッパでも、南米でも左派が敗退し始め、中道から右寄りの政権が次々と誕生しています。
さて、ここで国際政治学者に登場いただき、今何が起きようとしているのか、解説していただきました。
11月23日のエクアドルの選挙で新大統領に選ばれたのがダニエル・ノボア(35歳)で、この人は大バナナ王の息子ということですが、この国の前の大統領も保守系でした。その大統領が失脚したので、後任を選ぶ選挙があって選ばれたということでこれは良かったと思います。
アルゼンチンでは11月19日の選挙があったのですが、大サプライズ勝利を収めました。逆転勝利と言ってもいいと思いますが、当選しないと思っていたハビエル・ミレイ(53歳)が勝ったのです。これは非常に良いことですが、彼は過激なことを言っています。アルゼンチンは超インフレになったので、自国の通貨をやめて全てドル化にして、ドルを流通させると言っているのです。
アルゼンチンは以前ハイパーインフレとなったときに、ドル本位制をやって落ち着かせたことが、80年代にもやっています。だから、これは別に珍しいことではありません。この方は親ユダヤ・親イスラエルの人です。本人はカトリック教徒ですが、ユダヤ教会(シナゴーグ)に行ってユダヤ教の聖職者の話を聞いて参考にするということをやっているような、ユダヤ人たちと非常にフレンドリーな人でもあります。
過去1年間スカンジナビアからイタリアまで、右派の政治家が大勝利を収めてきました。そして、オランダでは11月22日の選挙で、オランダ自由党が大躍進して党首のヘルト・ウィルダースが注目を集めているのです。日本のマスコミでは極右政党と書いてありますけど、オランダの有権者の4分の1がこの党に投票しています。
オランダ自由党はパリ協定からの離脱、国内の環境保護法廃止、地球温暖化排出削減措置の廃止、CO2温暖化ガス廃止など、表立って政策綱領としています。自由党が4分の1の支持を集めたのですが、第1政党になったかどうかは記事に書いてありません。
CO2規制、二酸化炭素規制、温暖化ガス規制の環境政策を頭から否定している党が勝ったのは初めてだと言って、みんな驚いています。
現在、行なわれている環境政策を全面否定する党が欧州の国政選挙で勝利したのは今回が初めてであるということです。もちろん、移民反対、反イスラムの考慮もしています。それで150議席中37議席を獲得しました。
この自由党は「ヒステリックなCO2削減をやめる」と言っています。オランダ気候法を破棄する、パリ協定からの離脱も目指しているということです。ここは多くの右派政党にありがちな原発推進派でもあります。
この自由党は原子力発電所の建設を望んでいて、風力エネルギーは大規模なソーラーパークには反対しているのです。そして、石炭とガスの発電所の稼働を維持すること、黒海での石油採掘を強化することも主張しています。矛盾していることとして温暖化ガスを減らすから原子力を推進する人たちがいるのですが、温暖ガス規制政策はやめるけど原発をやると、この自由党は言っているのです。
ところが、この政策をやっていけば、原発を大量建設しろという政策を引っ込めざるを得なくなると思います。なぜかというと、経済合理性の問題になってくるからです。今は原発を作るにしても、大金がかかります。それだけではなく原発の原料となる濃縮ウラン燃料をどうするのという議論となり、それをロシアが世界で45%のシェアを持っているので、西側から調達してこようとすると高くなるのです。
フランス電力が大型原発をイギリスでもフィンランドでも作っていますが、価格がどんどん上がってどうしようもなくなっています。建設費が上がるということは、それだけお金を投ずるわけですから電気が高くなるということです。それに対してソーラー発電や風力発電の方は洋上風力を除けば、価格がどんどん下がっています。そういう経済合理性の議論になれば、市場経済で決めていくということになるので自然に脱原発という方向に進むでしょう。
日本でも百田さんの日本保守党が、いろんないいことをおっしゃっているのですけど、原発推進派です。
これはやっていくと果たして原発というものが安い電力を安全に供給できるかどうかというと、非常に疑問だと思います。今はそれでいいのですが、オランダの自由党もやってみればわかるでしょう。特に日本でも核燃料の最終的なゴミ捨て場がありません。そして、イギリスやフランスに預かってもらっているので、高額みかじめ料のようなものを影の形で取られています。
例えば、日産をルノーに売り払ったのは、そういう見返りを要求されたからだと私は推測しているのです。そして、原発にこだわりすぎたために東芝は潰れてしまい、さらに日立はGEと組んでいますので、万が一アメリカでGEが作った原子炉で事故を起こした場合は、日立も負債を被らないといけない仕組みになっているのです。そういう意味でも、あまり良いことはありません。実際に発電のコストは非常に高くなってきます。
理屈としては大きな設備投資をしたので今ある原発の中に原子燃料が入っているものに関して、燃やしてほしいというのは電力会社の方の気持ちとしてもよくわかります。もう設備投資をしてしまっているから、使わない手はないでしょう。しかし、それで出てくる死の灰と言われる高濃度の放射性廃棄物はどこに持ってくのという答えがないです。
日本国内でもゴミ捨て場がないということで、万が一事故を起こした場合、福島のようにどうしようもなくなります。あれに関しても今のところ明確な解決法がありません。解決自体を模索しているので、あれを全部解決するのに100年かかってもおかしくないということです。
とりあえずの解決法と言いますか、暫定的にはチェルノブイリでやったようにコンクリートで固めて放置しておく以外の手段はないのではないでしょうか。あれはデブリと言われている放射性ウラン燃料の燃え残りのカスを持ち出すこと自体が非常に難しいです。仮に持ち出すことができたとしても、どこに持っていって、どうやって処理するのか答えがない問題であるため、大変恐ろしいことになっています。福島でやっていることも全て原発のコストです。それを電気代に加算したら大変なことになり、その分は税金として我々がお金を出させられています。
表面的に見ると、例えば、関西電力が原発を動かすけど、この電力は安いと言うかもしれないけど、膨大な影に政府の補助金があるわけです。どの自治体も補助金を沢山もらわないと原発を受け入れてくれません。それから福島原発事故の災害の処理費用も全て原発の費用です。恐ろしいほど高いコストがかかっていて、原発で何をやっているかと言ったら大量のお湯を沸かしています。お湯を沸かして最後は蒸気タービンで発電しているのです。お湯を沸かす発電以外にも、いろんな方法があるだろうと私は思いますが、結局は最終的なコスト問題にたどり着くでしょう。
その辺りを追っていくと、世界の保守的な政党と言われているアンチ・グローバリズムの言っていることは賛成ですけど、原発推進派が意外と多いのです。しかし、やってみれば気づきます。エクアドルの新大統領のノボアは父がバナナ王として知られるアルバロ・ノボアという人で、ラソ前大統領の前政権が進めた市場重視や親米の政策を引き継ぐということです。ただし、南米の国にありがちなのですけど治安が非常に悪いので、それに対して治安回復ができるかどうかということが課題であると言われています。
アルゼンチンのハビエル・ミレイこの人はサプライズ大統領です。とにかくハイパーインフレや通貨安で経済苦境に陥ったのですが、それらを起こしたのは以前の左翼政権でした。ミレイは「小さな政府でやります。行政は思い切って省庁統廃合します。国営企業を民営化します。通貨制度としても中央銀行を廃止して、アメリカドルをそのまま使えるようにします。IMFとも協調します。外交ではチャイナとの親密な関係を修正して、アメリカ重視にします。BRICS加盟反対、南米関税同盟メルコスールの脱退も視野に入れます」ということを掲げていて、かなり思い切ったことを言っています。
こういう政策がうまくいってくれると良いです。。
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