赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

「化石燃料協定」ロシア、サウジ、イラン...反日米欧連合の行方

2023-12-29 00:00:00 | 政治見解



「化石燃料協定」ロシア、サウジ、イラン...反日米欧連合の行方 :231229情報


昨日からの続きです。国際政治学者の解説をお届けします。


米国の石油・天然ガス、2023年9月、生産高の史上最高を更新

石油と天然ガスでアメリカ生産高が史上最高を打ち出しました。「2023年9月、おめでとうございます」という感じです。どのくらいの数字だったのか見てみましょう。

これは12月7日付のFTにグラフまで入れて出ておりました。2023年9月シェールオイルも含む原油生産量がアメリカでは1日当たり1320万バレルを記録しています。世界最大の産油国になり、世界の原油生産の8分の1を生産しました。

サウジアラビア、ロシア、アメリカでは1日あたり1000万バレル以上取れる世界の石油3大生産国です。バイデンが何を言っても産業界の必然性で関係ないということで、積極的に掘っていました。

天然ガスの方ですけど、シェールガスも含みアメリカで20233年9月過去最高の1日当たり1250億立方フィートを記録となっています。ロシアのウクライナ侵攻で天然ガス価格が上がったのはご存知の通りですけど、それを下げるために掘ったらどんどん出てきました。アメリカでは掘れば出てくる豊かな国だから羨ましいです。

バイデンやCOP28が何を言っても、産業界で実需があれば石油も天然ガスも生産します。こういうことは健全であり、良い方のアメリカの顔が見えているなと思いました。

このシェルの話で12月7日にナイジェリアの大統領府が公開した情報です。12月7日、ナイジェリア大統領の広報官が発表しましたけど、今後シェルはナイジェリアに60億ドルをエネルギー開発で投資します。その内訳としては原油開発50億ドル、天然ガス開発10億ドルとなって合計60億ドルです。今後も長期的に石油も天然ガスも必要であるということを意味しています。イギリスの“ロイヤル・ダッチシェル“という会社が現在は“シェル”という名前に変わりました。

COP28完全無視ということです。


反日米欧連合の形成か

この話題はCOP28をちょうどやっているときでした。プーチンロシア大統領がサウジアラビアのムハンマド皇太子をサウジアラビアに訪ねて会談しています。

石油の値段が安くなりすぎてきているので、ニューヨークの先物取引のWTIが70ドルを切りました。安くなってきているから、もっと減産しないといけないという話をしたのではないでしょうか。

それから翌7日にはプーチンはモスクワに戻って、イランのエブラーヒーム・ライースィー大統領に会いました。ロシアサウジ、イランと石油天然ガスの輸入国であるインドとチャイナはライバル関係の側面も持っていますが、その3カ国から安い燃料をいっぱい買っているという点では共通しています。輸入国であるインドやチャイナは人口も多いし、今後とも大量に石油と天然ガスを消費していくでしょう。

そことロシア、サウジ、イランといった大量の化石燃料を算出する国が仲良くなってくると、反西側連合国がOPECの枠を超えて、天然ガスの生産、値段、供給量などの市場をコントロールする力を持ってくると思います。これが反先進国、反日米欧連合になってくる可能性があるでしょう。

そういったものが準備できている、そういったものが姿を現しつつあるというのがCOP28で馬鹿な話をやっているときに、その裏では着実に化石燃料連合(レジーム)を形成しつつあるということです。

本来の対立関係というのは世界経済にとって良いことではありません。バイデン政権のように化石燃料を敵視して全廃すると言って、イギリスのジョンソン政権もスナク政権もそういう流れで来ています。そういった政権がなくなれば、世界で貴重な天然資源である化石燃料の上手な使い方というものをお互いに話し合いができるのです。

今のところ、英米が強力に反化石燃料を打ち出しているため、このような対立軸ができてしまっています。反先進国連合が非常に力強くなりつつあるということです。これは気をつけていかなければいけないところだと思います。



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