1泊2日で、田舎に帰る。
父の居ない家に残されている
老猫の様子を見に帰るのだ。
すっかり柔らかな若葉色に
おめかしした山を見ながら、
バスに揺られている。
あの薄っすらと紫色の塊は
山藤だろう。
眩しい陽射しも、綺麗な山肌も、
私には虚しい景色にしか見えない。
父が亡くなって100日が過ぎた。
帰って来るはずのない父を
小さな子供のように恋しがっている自分が
恥ずかしい。
そして、同じ気持ちで
父を探して泣き続けている
老猫がいる。
その老猫が待つ家に…
裏の勝手口の戸をあける。
靴を脱ぐのももどかしいほど、心が焦る。
ミーコ ミーコと、大声で呼びながら
家中を探すと、かすかに泣き声が…
あぁ〜生きてる。
ホッとするが、
もう目も見えない様子。
ふらふら歩きながら、
壁にぶつかる。
やせ細った身体を撫ぜてやると、
掌に触れる骨が痛いほど、心にささってくる。
戸を開けてやると、
フラフラしながら外に出て行くが、
30センチの段差に上がるのも困難そう。
すぐに部屋に戻ると、身体を長くして横になる。
目を閉じ、ダランと力なく寝る姿に、
ドキッとする。
お腹が、大きく上下して動いていることが、
生きている証拠のように…。
残り少ない力を振り絞るように、息をしている。
可哀想だね。
死ぬのも、生きているのも…。
でも、どうすることも出来ない。
父が可愛がっていた猫ちゃんだから、
最後まで出来る世話をしてあげようと思っている。
明日、置いて帰るのが辛いよ。
父の居ない家に残されている
老猫の様子を見に帰るのだ。
すっかり柔らかな若葉色に
おめかしした山を見ながら、
バスに揺られている。
あの薄っすらと紫色の塊は
山藤だろう。
眩しい陽射しも、綺麗な山肌も、
私には虚しい景色にしか見えない。
父が亡くなって100日が過ぎた。
帰って来るはずのない父を
小さな子供のように恋しがっている自分が
恥ずかしい。
そして、同じ気持ちで
父を探して泣き続けている
老猫がいる。
その老猫が待つ家に…
裏の勝手口の戸をあける。
靴を脱ぐのももどかしいほど、心が焦る。
ミーコ ミーコと、大声で呼びながら
家中を探すと、かすかに泣き声が…
あぁ〜生きてる。
ホッとするが、
もう目も見えない様子。
ふらふら歩きながら、
壁にぶつかる。
やせ細った身体を撫ぜてやると、
掌に触れる骨が痛いほど、心にささってくる。
戸を開けてやると、
フラフラしながら外に出て行くが、
30センチの段差に上がるのも困難そう。
すぐに部屋に戻ると、身体を長くして横になる。
目を閉じ、ダランと力なく寝る姿に、
ドキッとする。
お腹が、大きく上下して動いていることが、
生きている証拠のように…。
残り少ない力を振り絞るように、息をしている。
可哀想だね。
死ぬのも、生きているのも…。
でも、どうすることも出来ない。
父が可愛がっていた猫ちゃんだから、
最後まで出来る世話をしてあげようと思っている。
明日、置いて帰るのが辛いよ。