ウイルス性髄膜炎
その治療法はただひたすら安静にすることです。
それ以外に治療方法はありません。
背中から腰椎穿刺によって抜き取った髄液を培養し、
そこに細菌が見つかると細菌性ということになり、
抗生物質が使用されますが、
細菌の培養には数日の時間がかかり、
その間にも患者の容態は刻々と悪化していく為、
ある程度広い範囲の細菌に効果のある抗生物質が使用され、
数日後培養によって細菌の種類が特定されると、
その細菌の種類に合わせて有効な抗生物質の点滴が始まります。
ですが、ウイルス性髄膜炎の場合は
基本的な治療法は痛みや熱を凌ぎながら、
脱水症状等ある場合は輸液を用い、
後はひたすら安静を保つ意外に治療方法はありません。
ウイルス性髄膜炎でも抗生物質を使用することはありますが、
髄液の細菌培養に時間がかかる為、
結果的にはウイルス性であっても、
万が一細菌性であった場合には、
検査結果が出るまでの間に症状が重篤になってしまう為、
数種類の細菌に広範囲に有効な抗生物質の点滴を用いたり、
2次的感染を防ぐような目的で使われます。
ですから、ウイルス性髄膜炎で抗生剤を使用していても、
実際にウイルス性髄膜炎を治療する特効薬という訳ではないのです。
ここで一応ウイルスと細菌のことを説明しておきますが、
前にも書きましたが、
ウイルスと細菌の一番の違いはその大きさです。
細菌は顕微鏡で見えますが、ウイルスは電子顕微鏡でしか確認出来ず、
種類を特定するにも、ウイルスの場合は非常に難しいとされています。
風邪症状のほとんどはウイルスによって起こりますが、
ここで一般的に勘違いされるのは、
病院で処方される薬がウイルスを退治していると思われている方も多いのではないでしょうか?
それは全く見当違いです。
あくまでもウイルスを退治しているのは自分自身の免疫であり、風邪などのウイルスに直接攻撃できる有効な薬はありません。
抗生物質も同様です。
風邪を引いたとき、すぐに抗生物質を投与すると治りが早いと思われる方も多いかもしれませんが、抗生物質は全くウイルスに効果はありません。
抗生物質(抗生剤)と呼ばれるものは、細菌専用であり、ウイルスには全く効果はないのです。
ですから抗生物質を無意味に使っても全く意味がありません。
逆に抗生物質を乱用すると、返って体に副作用をもたらす事だってあります。
体には常在菌が住んでいて、私達の体にいい作用をもたらしてくれていますが、抗生物質の使用により、これらの菌も死んでしまうからです。
それにより体のバランスが崩れてしまうというリスクも抗生物質にはあり、抗生物質の副作用として体に様々な偏重をきたしてしまう場合もあるのです。
それともう一つ、抗生物質を長期に渡って使用するということは、耐性菌を作ってしまう原因にもなります。
つまり抗生物質にも負けない強い生命力を持った菌へと成長してしまうのです。
そういったことを防ぐ為にも安易な抗生物質の投与は避けるべきなので、風邪が酷くなったからといって無理に抗生物質の投与をお医者さんに要求するのは止めましょう。
何度も書きますが、抗生物質は細菌を殺す為の目的であるので、ウイルスによる風邪には全く効果がありません
抗生物質=対細菌兵器
これを忘れないで下さい。
ウイルスによる起こる病気と、細菌により起こる病気
どちらが怖いかというと、今まで書いてきたことを見れば想像できるかと重いますが、
細菌による病気の方が症状としてずっと重篤になる場合が多いです。
風邪症状がいつまでも治らない場合や、高熱が下がらない等、
ちょっと風邪にしては変だと感じる場合は細菌による原因も考えられますので、
その時は病院できちんと検査を受けて下さい。
細菌であった場合は、その菌の種類に適した抗生物質が使われることになります。
抗ウイルス剤というのもありますが、これは特定のウイルス(ヘルペス性髄膜炎ウイルス等)に使用されるもので、風邪などに万能に効く抗ウイルス剤は現在のところありません。
もしも、どのウイルスにも万能に効く抗ウイルス剤を発明したらノーベル賞は間違いないと思います。