『その女アレックス』の著者ピエール・ルメートルの小説。
今度は第一次世界大戦、終戦直前からの物語です。
フィクションですが、史実に基づいている部分もあります。
ハンサムでいけ好かない上官プラデルに一度は殺されて、そして生き返った主人公アルベールと、アルベールを救出した際に無残な外傷を負ったエドゥアール、そしてエドゥアールの父と姉マドレーヌ。
それぞれが絡み合って進むストーリー展開も面白いのですが、今回は登場人物の心理描写がとても細かく書かれていたように思います。
前回は最後の最後に「スカッ」としたので、今回は何が起こるのかな?と期待していたところ、やっぱりありました。
プラデルは裕福なマドレーヌに目をつけてまんまと結婚しますが、その容姿を武器に愛人を何人も囲い、さらに悪徳な事業を展開します。
もちろん父親も結婚には反対でしたが、マドレーヌは意思を貫きます。
出産が近くなった時に夫プラデルの悪行が表沙汰になり、二人は「初めて心を通じ合わせた」という表現を使った直後に、ばっさりマドレーヌは切ります。
なぜ結婚したのか。
「それはあなたがハンサムだったから」それだけ。
小説ではマドレーヌは普通以下の容姿だったようで、可愛い子供が欲しかっただけということでした。
こういうことを言われるのはプラデルのような狡猾な人間でもキツいとみました。
物語の登場人物のその後に触れて終わります。