動物園干支さがし(2)~カバ

 動物図鑑のイノシシのページを見ると、イノシシとカバが同じ仲間として載っていた。説明を読むと、イノシシのひづめは4本で、やはりひづめの数が偶数のウシやシカと同じ偶蹄類という仲間に分類されるのだそうだが、そのなかでもイノシシとカバが近いのだという。生物学的にどのくらい近いのかは知らないが、意外であった。
 このあいだ動物園へ行くと、いつもは水中にいて顔の一部だけしか見えないカバが、運動場に出て飼育係の人におやつをもらっていた。それまでカバは不細工だというイメージを持っていたが、このように全身をよく見ると、なかなか愛嬌のある動物である。
 飼育係の人がカバにエサを見せると、カバはその特徴的な大きな口をあんぐりと開けた。
「ね、大きな口でしょう」係りの人が、カバの口にエサを投げ入れる。私はすごい、と同意した。
「でも、よだれがね」次のエサをねだってカバがまた大口を開けると、上あごと下あごのあいだに粘っこいよだれが数本糸を引いた。大いに同意。係りの人は、よだれが手につかないようにエサをカバの口に放り込んだ。
 飼育係りの人がカバのエサを手に取らせて見せてくれた。手のひらに入るくらいの巨大なドッグフードという感じである。薄緑色の円筒形で堅い。よく見ると草の筋のようなものが混じっている。
「干草ですか」
「そう、干草を固めたものです。カバにはカバ用、ゾウにはゾウ用と、それぞれの動物専用のエサがあります。これで終わりだよ」最後のエサを口に入れてもらうと、カバはあごを上へそらして、こちらにのどのあたりを伸ばして見せた。掻いてほしいのである。飼育係の人は、ごしごしと大きなストロークでカバののどを掻いてやった。カバもこんなに馴れるものだとは。
 確かに、カバの体型がブタに似ているといわれるとそんなふうにも見える。また、温和そうに見えるカバだが、その性格はなかなか獰猛であるらしい。しかしのんきにあごを上げてのどを掻いてもらうカバを見ていると、猪突猛進の語源であるイノシシと同じ仲間だというのは、やはり不思議な感じである。



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