みゆちゃんのお正月(前篇)

 普段は仕事で忙しい夫も年末年始はお休みで、家族がそろって食事をすると、どうやらみゆちゃんも顔を出さなくてはと思うらしい。お皿の上にほしいものがあるわけでもないのに食卓にやって来て、どこを見ているのかあらぬ方向に視線をやり、ただじっと座っている。食事が済んで夫が新聞を読み出すと、テーブルに広げた紙面の上に座り込んで邪魔をする。皆が食卓でくつろいでいると、食卓の横のベビーチェアで丸くなる。眠るのであればどこで寝ても一緒だろうが、「参加」することに意義があるのである。
 じゅうたんの上で子供のブロック遊びに付き合っていても、みゆちゃんは参加しにやってくる。みんなが座っているまわりをうろうろしていたが、自分だけがあまりに目線が低すぎることに気づいたと見え、ピアノの上に飛び乗って同じ高さで眺めている。
 そんなふうに家族行事に参加しようとがんばるみゆちゃんだったが、そのみゆちゃんを尻目に、お正月は両方の実家を訪問したりとみゆちゃんを置いて家を空けることが多かった。
 そのせいか、三が日も過ぎた夜、みゆちゃんはなんとなくすねているように見えた。プライベートルームであるアニマルベッドにもぐりこんで出てこない。入り口からのぞく背中が、なんとなく不貞寝の様相である。(つづく)



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