トンボ池

 今年も京都御苑のトンボ池が一般開放されているというので、トンボを見に行った。
 蓮の群生する小さな人工池である。去年は蓮が例年より早く咲いた年であったので、一般公開の一週間は残念ながらもう蓮が終わってしまっていたのだけれど、今年は、トンボが飛び交う背高く伸びた青緑の葉の合間に、薄紅色に花開いた蓮の花びらや、まだ色濃く閉じた底の丸いつぼみが、同じように風に揺れていた。
 池に流れ込む水は、井戸から汲み上げた水であるそうで、流れに手を浸すと清らかな冷たさである。おそらく、下鴨神社の湧き水と同じ、京都の地下水系を水源としているのだろう。
 一般公開中は、専門家の人が池にいて、いろいろな動植物についての知識を教えてくれる。マユタテアカネのオスは赤いが、メスは赤くない、羽の付け根が黒いのはオオシオカラトンボ、目の縁が赤いのはモリアオガエル、などなど。
 子供の手を引いて、ほらトンボだカエルだと見ていたら、子供が足が痒いとしゃがみこむように両手でふくらはぎを掻くので、見ると半ズボンの足に蚊に食われた小さな赤い痕が五つ六つついていた。受付のテントの下からは、蚊取り線香の煙が細く流れていて、やっぱり蚊がいるらしいが、トンボやカエルに一所懸命になって、ちっとも気がつかなかったらしい。
 池を一周してから、テントの長机に置かれた昆虫図鑑を子供が眺めていると、受付の小母さんが、あんた二回目かいと聞くので、去年も来たというと、そうだろうね、覚えているわ、確かあのときは、ボクよりお母さんの方が一所懸命になってるって言ってたね。
 まったくその通りで、今年もやっぱり、息子よりも私の方がトンボやカエルにはしゃいでいるような感じで、もうちょっと見ようというのに、息子が足を痒がってもう帰りたいというので、仕方なく帰った。


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