公園の猫缶

 風が吹いて、あまり暑さが厳しくなかった日に、子供を公園へ連れて行った。
 あまり暑くないといってもやっぱり暑いから、公園は、人も少なくて、ただ明るく白けた地面に木のつくる陰がくっきりと黒く落ちていて、がらんとした感じである。
 子供が砂場で遊んでいるのを木陰から見遣って、もうずいぶん長いあいだ、公園で猫を見ないと思った。毛艶のない黒猫が、小さな日溜りで丸くなって眠っていたのは二年前の秋、そのあと、面構えのしっかりとした、したたかな感じの白黒猫に会ったのは今年の節分の頃であったか。
 それ以来猫を見ないので、いまは公園に猫はいないのだろうと思った。猫がいないのは淋しいようだが、いると砂場をトイレにするから、困ることもある。それに、公園などで猫に出会うと、たくましく生きている猫ならいいが、そうでない場合は、ちゃんと食べるものはあるのだろうかとか、とくに冬場は暖かな寝場所があるのだろうかとか気がかりなことも多い。
 いい加減暑くなってきたから、帰ろうと思って出口のほうへ向いかけたら、公園に何本も植わっている背の高い木のうちの一本の根元に、空っぽの猫缶が落ちているのを見つけた。やっぱり猫がいて、誰かがご飯をあげているようである。


にほんブログ村 猫ブログ 猫絵・猫漫画へ ←1クリックよろしくニャ~
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )