くいしんぼうふくちゃん

 人懐っこくて、好奇心いっぱいで、可愛いふくちゃんだけど、言うことなし、というわけにはやっぱりいかなくて、食べることに関しては、お行儀が悪い。
たとえば主食のドライフードを食べるとき、みゆちゃんはとても行儀がよくて、お皿の外にこぼれたフードもちゃんと拾って食べるのだが、ふくちゃんはこぼれたのは食べないうえに、噛み砕いたかけらを口からこぼしてすぐに散らかす。
 みゆちゃんのおやつもとってしまう。みゆちゃんは一人っ子(?)だったため競争することになれておらず、おっとりしているから、ふくちゃんは自分の乾しカマをさっさと食べると、ぐずぐずしているみゆちゃんのぶんまで横から頭を突っ込んできて食べてしまう。
それに、人間の食べるものにはほとんど興味がないみゆちゃんとはちがって、チーズだ、パンだ(パンが大好きである)、さんまだと、すぐにお膳の上やまな板の上に飛び乗ってくる。このあいだも、じゃこと菜っ葉の炒めたのをテーブルに置いて、次の皿を用意していたら、もうその合間にテーブルに上がってじゃこをむしゃむしゃ食べていた。
 同じく人間の食べ物が大好きで、食事のたびに(とくに魚料理のときは)母が苦労していたネロのことを思い出す。あんなふうになるのかしらと、少々さきが思いやられるが、無邪気な様子でぐっすり眠っているふくちゃんを見ていると、可愛さのあまりそんなことは些細なことだと思われてくるから、猫の寝顔はずるい。
 いくら成長期だといってもここまで食欲旺盛なのかしらと思うけど、この食欲のせいで、ふくちゃんはほかの兄弟たちよりも、ひとまわりのふたまわりも大きいのかもしれない。
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