やきもちねこ

 みゆちゃんは、ときどき赤ちゃんにやきもちを妬く。
 抱っこして寝かしつけているそばへ来て座り、じっとこっちを見ているから、遊んでほしいのだなと思うけれど、手が離せないから、ちょっと鼻の頭をなでてやったりして誤魔化していると、そのうちベビーベッドにひょいと飛び乗って、赤ちゃんの毛布とか枕に組み付いて蹴り出す。ただ遊んでいるのではなくて、わざと怒られることをしてこちらの気を引こうとしているのだということは、枕を蹴りながらときどきこっちをちらと見ることからわかる。みゆちゃんはお利口だから、赤ちゃんには決して手を出したりはしないけれど、そうやって枕やおもちゃに八つ当たりをしている。
 しかたがないから、赤ちゃんを片手に抱えたままみゆちゃんの好きな紐を持ってきて、猫トンネルの前でふらふら動かすと、ベッドから降りてやってくるが、ちょっと遊んだところですぐにふくちゃんが飛んできて遊びを奪ってしまう。みゆちゃんはふくちゃんが参入してくると、すぐに興ざめしてやめてしまうから、せっかく遊んでやろうと思ったのに、歯がゆい。(もっとも、猫同士ではよく一緒に遊んでいる。)
 あるいは、赤ちゃんを抱っこして椅子に座っていると、いきなり椅子の背もたれに上ってきて、布製のシートでばりばり爪をとぐ。そのまま座部へ転がるように降りてきて仰向けにひっくり返るから、おなかを撫でてやろうと手を伸ばすと、その手にじゃれ付いて噛んだり蹴ったりする力加減が強くて痛い。
 困ったみゆちゃんだけど、ベビーベッドの上に乗って振り返り、にゃあと鳴いているのを見ると、「ここに上ったらかわいがってもらえるのかにゃ」と思っているようで、たまらなくいじらしい。
 赤ちゃんがごきげんでにこにこしているのでスケッチしていたら、私のジーパンの膝のあたりに前足を掛けて、うーんと伸びをする。
 そのあと、すねたように向こうを向いたみゆちゃんを描きはじめたら、知らん顔をしているようで、片方の耳だけは、しっかりこっちを向いている。
 ところで、ふくちゃんは嫉妬するような素振りは全然ない。
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