アンの絵本日記&g

大人にも楽しめる絵本の紹介と
稲垣吾郎さんについて(時々)語ります。

今日の絵本

2011-08-03 10:14:07 | 絵本
「アイヌの神話 トーキナ・ト」(7分半)
津島佑子:文
宇梶静江:刺繍
杉浦康平:構成
福音館書店:発行
2008.5(1600円)

口承文芸であるアイヌ叙事詩には、神々が自分の経験を語る内容のカムイ・ユカラ(神話)と、若者のスーパーヒーロー(さまざまな呼び方があるが、本編に登場するアイヌラックルもそのひとつである)が悪者たちを次から次に退治する、勇壮長大なユカラ(英雄叙事詩)がある。
両方とも一定のリズムをつけてうたわれるが、カムイ・ユカラのほうは、本編の「トーキナ・ト」のような「くり返し(サケヘ)」が必ずつく。
残念ながら、「トーキナ・ト」の意味は不明だが、たとえば、キツネの神が語る場合はキツネの鳴き声をまねたり、雷の神の場合はその音を摸写したり、あるいは、神々の姿を描写する場合もある。
(作者解説文より)

作者の津島佑子氏は、青森県出身の父と山梨県出身の母を持ち、山の文化と北の文化に興味を持つようになる。
アイヌ叙事詩の世界に魅了され、同時にアイヌ民族のたどってきた歴史から、他の国々の先住民族、少数民族の問題、そして口承文芸にも強い関心を持つ。

刺繍で絵を描かれた宇梶静江氏は、アイヌの詩人、布絵作家、民族解放の運動家でもある。
東京ウタリ会の創設にかかわり、20代で北海道から上京、働きながら苦学。
次々に頼って上京してくる同胞の面倒をみながら、1972年、「朝日新聞」も投書欄に「ウタリ(同胞)よ、手をつなごう」と呼びかける。
これが反響を呼び、関東圏のアイヌ復権運動の草分けとなる。
同時にアイヌであることを伏せて暮らす同胞の反感も呼び、苦悩の日々の始まりでもあった。
長男は俳優の宇梶剛士である。
(著者紹介文より)


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