プーチン“項羽”の四面楚歌
“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」176/通算607 2023(令和5)/5/15/月】「フォーリン・アフェアーズ・リポート」は 米外交問題評議会(CFR)が発行する国際政治経済ジャーナル。小生は毎月、そのPRサイトを覗いて米国のオピニオンリーダーの識見をチェックしているが、米国は老いたりとは言え、さすが世界の覇者だけになかなか勉強になる。こんな具合だ。
<【モスクワの大いなる幻想 ウクライナ戦争とプーチン体制の本質/2023年4月号】ロシアは国際的に孤立してはいない。グローバルサウスでは、この戦争についてロシアが語るストーリーが支持を集め、多くの場合、欧米よりもプーチンのほうが大きな影響力をもっている。
しかし、今回の戦争で、ロシア側の死傷者は20万人に迫っている。戦争に反対か、徴兵を避けるために、ロシアを出国した人もこの1年で推定100万人に達するとされる。それでも、プーチンが戦争を決意したら、その行動を抑止できる国やアクターはほとんど存在しない。
ウクライナとウクライナを支持する国々は、ロシアがこの戦争に勝利すれば、プーチンの膨張主義がウクライナ国境を越えて拡大することを理解し、憂慮している。そしてプーチンは、いまもこの戦争に勝利できると信じている。
【ロシアは何を間違えたのか そして、モスクワが失敗から学べば/2023年5月号】ロシアにとって重要な問題のいくつかは、モスクワには制御できないものだ。
ロシアに対抗していくウクライナ人の決意はさらに堅固になっており、この決意を揺るがすことはできない。ロシアには欧米の武器や情報のウクライナへの流入を阻止する意思も能力もない。つまり、ウクライナの決意と欧米の支援がある限り、モスクワが、ウクライナを当初考えていたような傀儡国家にすることはできない。
なぜロシアは優位を維持できず、なぜ動けなくなり、主要都市から締め出され、守勢に立たされたのか。だが、ロシア軍は、完全に無能だったわけでも、学習能力がなかったわけでもない。戦略調整を続け、南・東部の占領地支配を固めれば、最終的には、窮地を脱して勝利をつかめる可能性もある。
【ウクライナ難民を支えるヨーロッパ 人道的支援と難民疲れの間/2023年5月号】欧州連合(EU)は、ロシアによる侵攻直後の2022年3月上旬に、ウクライナ難民のためにEUの一時保護指令を発動した。
これは、難民申請がなくても、ウクライナ難民に最長3年間、EU諸国で生活・労働する権利を認める措置で、現在、480万人以上のウクライナ人がEUの一時保護プログラムまたは同様のプログラムに登録している。これはウクライナ難民全体の60%に相当する。
一方、米政府関係者によると、ロシア軍は2022年9月時点で最大160万人のウクライナ難民をロシア領に強制移住させている。強制移住は国際法では戦争犯罪だが、ロシアはその行為を人道的避難と位置づけている。
専門家は、戦争が続き、ヨーロッパはエネルギー価格の高騰、住宅不足、雇用難、財政難に直面しているために、今後1年間で「難民疲れ」が進むのではないかと懸念している。すでに反移民感情の高まりもみられる>
https://www.foreignaffairsj.co.jp/
日本でも「日本国際問題研究所」などのシンクタンクがあるが、国際的影響力はフォーリン・アフェアーズ(英語版、日本語版、ロシア語版、スペイン語版)がダントツだろう。
ロシア語はロシア、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ジョージア、アゼルバイジャン、アブハジア、南オセチア、アルメニア、 エストニア、ラトビア、リトアニアなど1億8000万人の公用語だというから、少なからぬロシア人+ベラルーシ人もWEBなどを通じて読んでいるかもしれない。
ベラルーシと言えば大統領ルカシェンコによる「強権独裁」で知られるが、プーチン・ロシアの「狂犬独裁」を支援して国際的にも大いに評価を下げた。同国は人口926万人、我が神奈川県の人口922万人と同じで、1億4000万人のプーチン・ロシアには地政学的に見ても逆らえないだろう。
同国の近現代史を見ると、ルカシェンコはプーチンを好きなわけではないし、むしろ本心では嫌っており、プーチンにキンタマ(経済)と首根っこ(政治)を掴まれているから「仲良しの振りをしている」だけかも知れない。日本外務省によるルカシェンコの評価はかなり悪い。曰く――
<ルカシェンコ大統領は1994年の初当選以降、2015年の大統領選挙まで5期連続で当選。2020年8月に実施された大統領選挙の前に、有力候補者3名が違法行為や手続の瑕疵を理由として選挙に立候補できない状況となった。選挙後、当局は、ルカシェンコ現職大統領が約80%を得票した一方、有力対立候補として注目されていたチハノフスカヤ氏の得票率は約10%との選挙結果を発表した。
これに対し、選挙に不正があったとして、大規模な抗議活動がベラルーシ各地で発生し、治安部隊と衝突したが、当局による厳しい取締りにより徐々に下火となった。しかし、独立系メディアやNGOに対する大規模な捜索や関係者の拘束が行われるなど、人権状況の悪化が継続した。
2022年になると、ウクライナ国境周辺地域においてロシア軍の増強などによりますます緊張が高まる中で、ベラルーシは、2月10日、ロシアとの合同軍事演習を開始し、同月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵略では、自国領域の使用を通じてロシアを支えており、日本として、同国を強く非難した。
今回の侵略に対するベラルーシの明白な関与に鑑み、2022年3月以降、日本は、ルカシェンコ大統領を始めとする個人、団体への制裁措置や輸出管理措置などのベラルーシに対する制裁を導入した>
夏彦翁曰く「みんな正義が大好きだ!」。アカの巣窟のような“皆様のNHK”もそうとう頭に来ているよう。「NHK政治マガジン」2023年2月13日特集記事「ロシア ウクライナ侵攻の陰で続く弾圧 ベラルーシ 民主化の願い」を読むと――
<ロシアのウクライナ侵攻。両国に隣接するベラルーシは「ヨーロッパ最後の独裁者」とも呼ばれるルカシェンコ大統領の統治が1994年から続いていて、国内にロシア軍を駐留させるなど、ウクライナ侵攻を事実上、容認している。政権に反発する国民たちは、民主化運動を展開しているものの、ルカシェンコ大統領の強権的な手法で抑え込まれていて、深刻な人権状況が続いている。
ベラルーシの民主化運動に、遠く離れた広島から取り組むベラルーシ人のナジェヤ・ムツキフさん(42)は、「多くの一般のベラルーシ人はウクライナ侵攻に反対している」と声をあげ続けている。
ムツキフさんは2000年に初めて来日し、在日ベラルーシ大使館の職員などを経て、結婚を機に広島市に移住。現在、広島市安佐北区で2人の子どもを育てながら翻訳の仕事に携わっている。
ベラルーシでは、政権による民主化運動の参加者への弾圧が続き、そのほとんどが拘束されるか、政権の手から逃れるため国外に退避するなどして、国内での活動は事実上不可能になった。さらに政権は反体制派メディアのサイトへの国内からのアクセスを遮断。徹底的な情報統制のもと、民主化運動を抑え込んだ。
こうした中、ムツキフさんはベラルーシ国内の人々にむけて情報を届けようと自身の個人的なSNSに反体制派メディアの情報を転載。運動の火を絶やさないよう、情報発信を続けた。
「遠い外国にいる私にとって、祖国のためにできる数少ない行動の1つはSNSを通じた発信なんです。国内では今も、反体制派のSNSやチャンネルを登録したり、“いいね”を押したりするだけでも、逮捕される危険性があります。個人のSNSはそれよりも安全なので、自分のSNSを通じて情報を届けることがとても大事だと思っています」
その後、ベラルーシの民主化に取り組む人権団体などとも連絡を取り合うようになったというムツキフさん。東京オリンピックでベラルーシ代表の陸上選手が成田空港から強制帰国されそうになった際も、ムツキフさんがサポートした。
選手からSOSの連絡を受けた団体を通じて支援要請を受け、広島から電話で通訳をしたり、日本の外務省とやりとりをしたりして、ポーランドへの亡命を手助けした。
【激しさ増す侵攻 政権からの圧力さらに強まり】その後もSNSでの発信など地道な活動を続けるムツキフさんに、2022年2月、最悪のニュースが飛び込んできた。ロシアによるウクライナ侵攻だった。侵攻開始前からロシアはベラルーシ領土内に軍を駐留。侵攻開始後はキーウに向けて進軍を始めた。
「侵攻のニュースは本当にショックだった。ベラルーシ領土内からもキーウに向けてロシア軍が侵攻していて、ベラルーシ人としてとにかく罪の意識が強かった。あれだけ独裁者と戦っていたと言っても、結局負けてしまったではないか、私たちには何もできない・・・ そんな気持ちだった」
ルカシェンコ政権の圧力はさらに強まり、ムツキフさんの周りにも及んだ。
首都ミンスクで会社を経営していたムツキフさんの兄は、侵攻後、経営者仲間が次々と拘束されたことから身の危険を感じ、2022年11月、国外に避難した。オンラインで話すムツキフさん。
ムツキフさん:「どうやって国を出たの?」
兄:「それは突発的な決断だった。気がつけば、私の身の回りも含めて、かなり危ない状況になっていて、ここにいれば99%、政権に逮捕されると思った。政権は適当な経済的もしくは政治的な理由で刑事犯罪をでっち上げて賄賂を要求してくるんだ」
こう話すムツキフさんの兄。政権からの賄賂の要求を拒否すれば、逮捕・投獄され、すべての財産が没収されるという。理由について「(経済)制裁で国の財政が厳しさを増し、企業経営者(の資産)を狙っているのでは」と分析する。
兄:「決断した翌日には、スーツケースに荷物を詰めて国を出た。国境を越えるのには11時間かかった。すでに国境を越えられない人々のリストに載っているかもしれないと思い緊張しながら待ち続けていた。自分はEUのビザを持っていたので、なんとか国を出ることができた。国がある種、強制収容所になったかのような感覚がある。体制が根本的に変わらない限り、帰国を検討する事は不可能だろう」
悪化の一途をたどるベラルーシの国内情勢。2023年1月から2月にかけても、ロシアとの合同軍事演習が行われ、地域の緊張は高まり続けている。
【「何もできない」それでも・・・】先が見えない祖国の情勢に心を痛めるムツキフさん。民主活動家たちにも無力感・疲労感が見られるという。
「今日に至るまで、いいニュースは何もない。誰かが逮捕された、誰かが拷問された、拷問で亡くなった。そんな話ばかりです。政権は新しい、ひどい法律をどんどん作って弾圧を続けている。いま、私たちは何もできることがない状態に置かれている」
しかしムツキフさんは、広島で開催されるG7サミットをきっかけに、世界が改めてベラルーシにも目を向けることを切に願っている。
「G7サミットのテーマは当然ウクライナ問題になるべきですが、ルカシェンコもロシアの軍事をサポートしています。戦争に関わる者を裁くなら、ルカシェンコにも代償を払わせるべきです。そのことを忘れないでほしい。何かしないと、もう手がつけられなくなる可能性が大きくある」
ムツキフさんはG7サミットの開催にあわせて、広島で祖国の現状を知ってもらう催しをウクライナの人たちと共に開催したいと考えている。現在は、ロシアの影に隠れてしまうベラルーシの問題だが、今も国内では深刻な人権侵害が続く。
取材中、日本の人々に伝えたいことはあるかと聞いたところ印象に残る言葉が返ってきた。
「政治に興味を持たないと、気づかないうちに、国は民主主義から独裁国家に変わってしまう。当たり前だと思っていた人権はあっという間に守られなくなる」
日本にいると実感しにくいことかもしれないが、政府によって国民の人権が侵害され続けている国はいまだにある。われわれが享受する自由と民主主義は、当然のように見えて、非常にもろい土台の上に築き上げられているのかもしれない>(以上)
欧州は地続きの国境が多いから「昨日の友は今日の敵、今日の敵は明日の友」みたいな外交は大昔から当たり前なのかもしれない。
報道によるとルカシェンコは5月9日、ロシアでの第二次世界大戦の対ドイツ戦勝記念式典に出席後、プーチン主催の食事会を欠席し、ベラルーシに帰国。ベラルーシの国営通信によると帰国後、首都ミンスクでの対独戦勝記念式典に出席したものの例年の演説はフレニン国防相が代読し、体調不安説が報じられた。
本当に病気なのか? プーチンに愛想を尽かして病気の振りをしているのか? それは分からないが、プーチンはルカシェンコという最大かつ唯一の相棒、子分を失いつつあるのではないか。プーチンは短期決戦のつもりで開戦したが、1年を過ぎても出口は見えない。
力は山を抜き、気は世を覆う 時利あらずして騅ゆかず 騅のゆかざるを奈何すべき 虞や虞や若(なんじ)を奈何せん
プーチン“項羽”の四面楚歌。辞任するか失脚するか・・・失脚は処刑リスクがあるから辞任してシリア、イラン、アフガンあたりに逃げ込み、「ソ連復興の夢は叶わず 敗軍の将、兵を語る」でも書いたらどうか。売れそうだが2011年5月のビン・ラーディンのように暗殺されるリスクはある。本物かどうかは分からないが、プーチンは「ロシア最後の皇帝」になる可能性は高い。習近平の末路ともども見届けたいものである。同志諸君、長生きしようぜ!
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
https://note.com/gifted_hawk281/n/n9b3c7f4231f9
https://www.facebook.com/shuichi.ishii.14
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【雀庵の「大戦序章」176/通算607 2023(令和5)/5/15/月】「フォーリン・アフェアーズ・リポート」は 米外交問題評議会(CFR)が発行する国際政治経済ジャーナル。小生は毎月、そのPRサイトを覗いて米国のオピニオンリーダーの識見をチェックしているが、米国は老いたりとは言え、さすが世界の覇者だけになかなか勉強になる。こんな具合だ。
<【モスクワの大いなる幻想 ウクライナ戦争とプーチン体制の本質/2023年4月号】ロシアは国際的に孤立してはいない。グローバルサウスでは、この戦争についてロシアが語るストーリーが支持を集め、多くの場合、欧米よりもプーチンのほうが大きな影響力をもっている。
しかし、今回の戦争で、ロシア側の死傷者は20万人に迫っている。戦争に反対か、徴兵を避けるために、ロシアを出国した人もこの1年で推定100万人に達するとされる。それでも、プーチンが戦争を決意したら、その行動を抑止できる国やアクターはほとんど存在しない。
ウクライナとウクライナを支持する国々は、ロシアがこの戦争に勝利すれば、プーチンの膨張主義がウクライナ国境を越えて拡大することを理解し、憂慮している。そしてプーチンは、いまもこの戦争に勝利できると信じている。
【ロシアは何を間違えたのか そして、モスクワが失敗から学べば/2023年5月号】ロシアにとって重要な問題のいくつかは、モスクワには制御できないものだ。
ロシアに対抗していくウクライナ人の決意はさらに堅固になっており、この決意を揺るがすことはできない。ロシアには欧米の武器や情報のウクライナへの流入を阻止する意思も能力もない。つまり、ウクライナの決意と欧米の支援がある限り、モスクワが、ウクライナを当初考えていたような傀儡国家にすることはできない。
なぜロシアは優位を維持できず、なぜ動けなくなり、主要都市から締め出され、守勢に立たされたのか。だが、ロシア軍は、完全に無能だったわけでも、学習能力がなかったわけでもない。戦略調整を続け、南・東部の占領地支配を固めれば、最終的には、窮地を脱して勝利をつかめる可能性もある。
【ウクライナ難民を支えるヨーロッパ 人道的支援と難民疲れの間/2023年5月号】欧州連合(EU)は、ロシアによる侵攻直後の2022年3月上旬に、ウクライナ難民のためにEUの一時保護指令を発動した。
これは、難民申請がなくても、ウクライナ難民に最長3年間、EU諸国で生活・労働する権利を認める措置で、現在、480万人以上のウクライナ人がEUの一時保護プログラムまたは同様のプログラムに登録している。これはウクライナ難民全体の60%に相当する。
一方、米政府関係者によると、ロシア軍は2022年9月時点で最大160万人のウクライナ難民をロシア領に強制移住させている。強制移住は国際法では戦争犯罪だが、ロシアはその行為を人道的避難と位置づけている。
専門家は、戦争が続き、ヨーロッパはエネルギー価格の高騰、住宅不足、雇用難、財政難に直面しているために、今後1年間で「難民疲れ」が進むのではないかと懸念している。すでに反移民感情の高まりもみられる>
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日本でも「日本国際問題研究所」などのシンクタンクがあるが、国際的影響力はフォーリン・アフェアーズ(英語版、日本語版、ロシア語版、スペイン語版)がダントツだろう。
ロシア語はロシア、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ジョージア、アゼルバイジャン、アブハジア、南オセチア、アルメニア、 エストニア、ラトビア、リトアニアなど1億8000万人の公用語だというから、少なからぬロシア人+ベラルーシ人もWEBなどを通じて読んでいるかもしれない。
ベラルーシと言えば大統領ルカシェンコによる「強権独裁」で知られるが、プーチン・ロシアの「狂犬独裁」を支援して国際的にも大いに評価を下げた。同国は人口926万人、我が神奈川県の人口922万人と同じで、1億4000万人のプーチン・ロシアには地政学的に見ても逆らえないだろう。
同国の近現代史を見ると、ルカシェンコはプーチンを好きなわけではないし、むしろ本心では嫌っており、プーチンにキンタマ(経済)と首根っこ(政治)を掴まれているから「仲良しの振りをしている」だけかも知れない。日本外務省によるルカシェンコの評価はかなり悪い。曰く――
<ルカシェンコ大統領は1994年の初当選以降、2015年の大統領選挙まで5期連続で当選。2020年8月に実施された大統領選挙の前に、有力候補者3名が違法行為や手続の瑕疵を理由として選挙に立候補できない状況となった。選挙後、当局は、ルカシェンコ現職大統領が約80%を得票した一方、有力対立候補として注目されていたチハノフスカヤ氏の得票率は約10%との選挙結果を発表した。
これに対し、選挙に不正があったとして、大規模な抗議活動がベラルーシ各地で発生し、治安部隊と衝突したが、当局による厳しい取締りにより徐々に下火となった。しかし、独立系メディアやNGOに対する大規模な捜索や関係者の拘束が行われるなど、人権状況の悪化が継続した。
2022年になると、ウクライナ国境周辺地域においてロシア軍の増強などによりますます緊張が高まる中で、ベラルーシは、2月10日、ロシアとの合同軍事演習を開始し、同月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵略では、自国領域の使用を通じてロシアを支えており、日本として、同国を強く非難した。
今回の侵略に対するベラルーシの明白な関与に鑑み、2022年3月以降、日本は、ルカシェンコ大統領を始めとする個人、団体への制裁措置や輸出管理措置などのベラルーシに対する制裁を導入した>
夏彦翁曰く「みんな正義が大好きだ!」。アカの巣窟のような“皆様のNHK”もそうとう頭に来ているよう。「NHK政治マガジン」2023年2月13日特集記事「ロシア ウクライナ侵攻の陰で続く弾圧 ベラルーシ 民主化の願い」を読むと――
<ロシアのウクライナ侵攻。両国に隣接するベラルーシは「ヨーロッパ最後の独裁者」とも呼ばれるルカシェンコ大統領の統治が1994年から続いていて、国内にロシア軍を駐留させるなど、ウクライナ侵攻を事実上、容認している。政権に反発する国民たちは、民主化運動を展開しているものの、ルカシェンコ大統領の強権的な手法で抑え込まれていて、深刻な人権状況が続いている。
ベラルーシの民主化運動に、遠く離れた広島から取り組むベラルーシ人のナジェヤ・ムツキフさん(42)は、「多くの一般のベラルーシ人はウクライナ侵攻に反対している」と声をあげ続けている。
ムツキフさんは2000年に初めて来日し、在日ベラルーシ大使館の職員などを経て、結婚を機に広島市に移住。現在、広島市安佐北区で2人の子どもを育てながら翻訳の仕事に携わっている。
ベラルーシでは、政権による民主化運動の参加者への弾圧が続き、そのほとんどが拘束されるか、政権の手から逃れるため国外に退避するなどして、国内での活動は事実上不可能になった。さらに政権は反体制派メディアのサイトへの国内からのアクセスを遮断。徹底的な情報統制のもと、民主化運動を抑え込んだ。
こうした中、ムツキフさんはベラルーシ国内の人々にむけて情報を届けようと自身の個人的なSNSに反体制派メディアの情報を転載。運動の火を絶やさないよう、情報発信を続けた。
「遠い外国にいる私にとって、祖国のためにできる数少ない行動の1つはSNSを通じた発信なんです。国内では今も、反体制派のSNSやチャンネルを登録したり、“いいね”を押したりするだけでも、逮捕される危険性があります。個人のSNSはそれよりも安全なので、自分のSNSを通じて情報を届けることがとても大事だと思っています」
その後、ベラルーシの民主化に取り組む人権団体などとも連絡を取り合うようになったというムツキフさん。東京オリンピックでベラルーシ代表の陸上選手が成田空港から強制帰国されそうになった際も、ムツキフさんがサポートした。
選手からSOSの連絡を受けた団体を通じて支援要請を受け、広島から電話で通訳をしたり、日本の外務省とやりとりをしたりして、ポーランドへの亡命を手助けした。
【激しさ増す侵攻 政権からの圧力さらに強まり】その後もSNSでの発信など地道な活動を続けるムツキフさんに、2022年2月、最悪のニュースが飛び込んできた。ロシアによるウクライナ侵攻だった。侵攻開始前からロシアはベラルーシ領土内に軍を駐留。侵攻開始後はキーウに向けて進軍を始めた。
「侵攻のニュースは本当にショックだった。ベラルーシ領土内からもキーウに向けてロシア軍が侵攻していて、ベラルーシ人としてとにかく罪の意識が強かった。あれだけ独裁者と戦っていたと言っても、結局負けてしまったではないか、私たちには何もできない・・・ そんな気持ちだった」
ルカシェンコ政権の圧力はさらに強まり、ムツキフさんの周りにも及んだ。
首都ミンスクで会社を経営していたムツキフさんの兄は、侵攻後、経営者仲間が次々と拘束されたことから身の危険を感じ、2022年11月、国外に避難した。オンラインで話すムツキフさん。
ムツキフさん:「どうやって国を出たの?」
兄:「それは突発的な決断だった。気がつけば、私の身の回りも含めて、かなり危ない状況になっていて、ここにいれば99%、政権に逮捕されると思った。政権は適当な経済的もしくは政治的な理由で刑事犯罪をでっち上げて賄賂を要求してくるんだ」
こう話すムツキフさんの兄。政権からの賄賂の要求を拒否すれば、逮捕・投獄され、すべての財産が没収されるという。理由について「(経済)制裁で国の財政が厳しさを増し、企業経営者(の資産)を狙っているのでは」と分析する。
兄:「決断した翌日には、スーツケースに荷物を詰めて国を出た。国境を越えるのには11時間かかった。すでに国境を越えられない人々のリストに載っているかもしれないと思い緊張しながら待ち続けていた。自分はEUのビザを持っていたので、なんとか国を出ることができた。国がある種、強制収容所になったかのような感覚がある。体制が根本的に変わらない限り、帰国を検討する事は不可能だろう」
悪化の一途をたどるベラルーシの国内情勢。2023年1月から2月にかけても、ロシアとの合同軍事演習が行われ、地域の緊張は高まり続けている。
【「何もできない」それでも・・・】先が見えない祖国の情勢に心を痛めるムツキフさん。民主活動家たちにも無力感・疲労感が見られるという。
「今日に至るまで、いいニュースは何もない。誰かが逮捕された、誰かが拷問された、拷問で亡くなった。そんな話ばかりです。政権は新しい、ひどい法律をどんどん作って弾圧を続けている。いま、私たちは何もできることがない状態に置かれている」
しかしムツキフさんは、広島で開催されるG7サミットをきっかけに、世界が改めてベラルーシにも目を向けることを切に願っている。
「G7サミットのテーマは当然ウクライナ問題になるべきですが、ルカシェンコもロシアの軍事をサポートしています。戦争に関わる者を裁くなら、ルカシェンコにも代償を払わせるべきです。そのことを忘れないでほしい。何かしないと、もう手がつけられなくなる可能性が大きくある」
ムツキフさんはG7サミットの開催にあわせて、広島で祖国の現状を知ってもらう催しをウクライナの人たちと共に開催したいと考えている。現在は、ロシアの影に隠れてしまうベラルーシの問題だが、今も国内では深刻な人権侵害が続く。
取材中、日本の人々に伝えたいことはあるかと聞いたところ印象に残る言葉が返ってきた。
「政治に興味を持たないと、気づかないうちに、国は民主主義から独裁国家に変わってしまう。当たり前だと思っていた人権はあっという間に守られなくなる」
日本にいると実感しにくいことかもしれないが、政府によって国民の人権が侵害され続けている国はいまだにある。われわれが享受する自由と民主主義は、当然のように見えて、非常にもろい土台の上に築き上げられているのかもしれない>(以上)
欧州は地続きの国境が多いから「昨日の友は今日の敵、今日の敵は明日の友」みたいな外交は大昔から当たり前なのかもしれない。
報道によるとルカシェンコは5月9日、ロシアでの第二次世界大戦の対ドイツ戦勝記念式典に出席後、プーチン主催の食事会を欠席し、ベラルーシに帰国。ベラルーシの国営通信によると帰国後、首都ミンスクでの対独戦勝記念式典に出席したものの例年の演説はフレニン国防相が代読し、体調不安説が報じられた。
本当に病気なのか? プーチンに愛想を尽かして病気の振りをしているのか? それは分からないが、プーチンはルカシェンコという最大かつ唯一の相棒、子分を失いつつあるのではないか。プーチンは短期決戦のつもりで開戦したが、1年を過ぎても出口は見えない。
力は山を抜き、気は世を覆う 時利あらずして騅ゆかず 騅のゆかざるを奈何すべき 虞や虞や若(なんじ)を奈何せん
プーチン“項羽”の四面楚歌。辞任するか失脚するか・・・失脚は処刑リスクがあるから辞任してシリア、イラン、アフガンあたりに逃げ込み、「ソ連復興の夢は叶わず 敗軍の将、兵を語る」でも書いたらどうか。売れそうだが2011年5月のビン・ラーディンのように暗殺されるリスクはある。本物かどうかは分からないが、プーチンは「ロシア最後の皇帝」になる可能性は高い。習近平の末路ともども見届けたいものである。同志諸君、長生きしようぜ!
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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