この時期になると毎年撮りためた写真の整理をし始めるのが恒例になった。日ごろ、フィルムスキャンもコツコツとしようとは思っているものの、思っているだけのことが多くなった。こんな停滞感を打破すべく、フラット式のスキャナーを買ってみた。今まで使用していた1コマずつスキャンするものより、早く綺麗に仕上がるのか見もの。なかなか思ったようにはいかないが、懇をつめずに気長にやろうと思っている。
今回テストを兼ねてアップするものは、35ミリのモノクロ写真からのもの。90年代までは、35ミリカメラにもモノクロフィルムを入れてSLだけは撮っていたようだ。どういう訳かあまり記憶が定かではない。釜石線にJR後、初めて蒸気機関車が走った時のものだと記憶している。とにかくこの時のD51498は凄まじかった。釜石線という路線もさることながら、連続勾配区間にあえぎにあえいで大迫力、国鉄現役時代の蒸気列車をほとんど見たことのない自分にとっては、今までにないパワーを感じたものだ。当時は、北海道では函館山線にC62ニセコが走っていて、こちらも恐ろしく魅力的であったが、この時はそれを忘れさせられるくらいの圧倒的なスケールで迫ってきて、まさに五感がしびれまくった。遠くからデゴイチの爆音が迫ってきてはいるが、中々姿を現さない。爆煙だけが遠方の山から立ち上がっている。これはただ事では済まないぞっ、とレリーズを持つ手に緊張がはしる。しばらくしてデゴイチが姿を現したが、ほとんど止まりそうな速度でこちらに微速前進してきた。それを証拠に煙がほぼ垂直に立ち上っているのだ。圧倒的な煙と、爆音と、それに伴う音圧と振動が全身を震わせた。とにかく無我夢中でシャッターを切り、我に返ると、まるで暗黒の世界に引きずり降ろされたように、あたりは爆煙で真っ暗になった。今この写真を見ても鮮明に当時の光景が甦る。今年も数年振りにSLの運転があったらしいが、どうだったんだろう。また、来年には復活に向けて工場入りしたC58もこの釜石線を走行するらしい。今から楽しみにしている。
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1990(H2)-07-29 9604レ D51498 SL銀河鉄道999 12x6 JR東日本/ 釜石線: 陸中大橋-洞泉
Nikon F4E Nikkor 300mm F.2.8S TMX