春のダイヤ改正で、定期列車から185系電車が引退との発表があった。新車登場時、当時にしては斬新とも言える白地に緑の斜めストライプの姿で現れ、鉄道ファンの度肝を抜いた。もうすでに遠く彼方にまで過ぎ去った感覚の国鉄時代において、あの塗装は革新的ではなかったか。あれから40年、多々思い出のシーンを残して、また車両史が動こうとしている。
アントンKの鉄道趣味史にも、この185系電車が綺麗にリンクしていることに気が付かされると、どこか穴の開いたような、空虚な思いが過ってしまう。何が寂しいって、やはりアントンKの場合、MT54の主電動機のモーター音が身近に聞かれなくなることだろう。それこそ昔を振り返ると、この電車音を聞きながら旅立った記憶が蘇ってくるのである。当時は当たり前に感じていたことだが、今さらながら個性豊かな良き時代を生きてきたと思えるのだ。
春以降この185系電車は、臨時列車での活躍が最後に残されているようだが、通過する走行音にアントンKは、想いを馳せることだろう。その瞬間を楽しみに待ちたいと思っている。
ここでは、まだ185系電車が登場間もない1982年の画像を掲載しておく。東海道線用の車輛とは違い、上信越線用は200番台車となり、ご覧のように緑のサイドラインに変更を受けている。これは当時の「新幹線リレー」号に使用するための影響もあるのかもしれないが、長大編成で驀進する185系は、当時から花形列車だったように思えてならない。
1982-11-20 2007M 「谷川・白根」185系200番台編成 高崎線:籠原付近