晴れると清々しい季節になってきた。猛暑だった日常から解き放たれ、青い空、高い雲を見上げると、気持ちが高鳴り一人何処かへ旅立ちたくなる。そんな計画を立てるだけでも心躍るものだ。
長年撮影主体の旅が多いからか、どうしても太陽が輝く「晴れ」の想定で行動計画もおのずと決まるが、経験上想い通りにいかないことが大半で、満足とは程遠い結果がたくさん残されている。最近の撮影では、撮影機材の変化からか、太陽光線の意識は薄らいできているが、それでも基本は「光」という魔法を信じるのがアントンKのスタイルなのだ。
まだ寝台特急「北斗星」がEF81のけん引で走っていた時代の1コマ。この時も、天気予報は「晴れ」。夜明けとともに太陽の光を感じるはずの秋の日だった。しかし予報とは裏返しで、現地に着くと濃霧で視界が利かない。撮影どころではないのだ。もちろんこの日は、予報通り日中は秋晴れとなったが、天気の良い朝は放射冷却現象で、霧が立ち込めることが多いと聞いたのは後になってからだった。日が昇るとともに霧が晴れてきているのがわかったが、列車通過時間には間に合わず、気持ちの上では不完全燃焼な結果を朝から味わっている。こんな苦い思い出も今では懐かしく思えるが、満足な結果を出せることが難しいほど、その先へと向かう強い気持ちは今後も持ち続けていきたいものだ。
2009-11-15 2 EF81 北斗星 蒲須坂付近