ロシアの代表的な指揮者であるゲンナジー・ロジェストヴェンスキーが今月亡くなった。(87歳)
チェリストの巨匠ロストロポーヴィチ、巨漢エフゲニ・スヴェトラーノフ、そしてゲンナジー・ロジェストヴェンスキーと、アントンKの中でのロシアの指揮者界の三大巨匠が次々と逝ってしまい寂しくなったものだ。この3人、実演ではほんの数回の限られた体験のみであり、そのほとんどが録音での印象となってしまったが、その演奏にはそれぞれに固有の切り立った個性があり、3人とも大好きが指揮者だった。
ロジェストヴェンスキーは、「オーケストラの魔術師」と言われていたが、確かに自国の作品を振った時の、誰も寄せ付けない煌びやかな色彩感は、今思い出しても固有のもので、ファンに魔術師と言わしめた由縁なのだろう。録音では、チャイコフスキーの3つのバレエ音楽がどれも素晴らしいが、やはり「白鳥の湖」が群を抜いている。第三幕の悦に入った解釈はどうだろう。そして第四幕での終曲へと上り詰める感情移入は、この指揮者の真骨頂だ。
読響を振ったブルックナーの第5番も、今となっては良い思い出となった。ちょうど1年前の演奏会。(2017年5月、芸劇)スクロヴァチャフスキの代役で来日し、このブルックナーをシャルク改訂版で演奏したのだ。実演は、この日が最後となってしまったが、終演後の鳴りやまない拍手に、総譜を示して我々におどけて見せたあの表情は、このブル5とともに一生の宝物となった。
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