アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

デッキ付きD型電機への憧れ~ED16

2021-12-21 20:00:00 | 国鉄時代(カラー)

歴史をたどれば、あのEF57よりも古く、当時の鉄道ファンを魅了したED16型電機。仕事のほとんど全てが貨物列車で、走行区間も限られていたからか、ゴーナナやゴハチと比べたら随分と地味に映り、ファンの姿も少なかったように思う。アントンKが関われた時代は、1975年から引退する1983年までのたった8年間でしかない。それも大いに憧れた機関車だったことは確かだが、鉄道写真としては未熟なものばかりで、当時の画像を眺めるとちょっと心残りなものが並んでしまう。それでも、18両全機撮影するという当時の目標は達成し、次は春夏秋冬の季節を感じるED16など、ある程度課題を課しながら撮影した電機は、このED16が初めてだったように思う。アクセスしやすかったこともそうだが、武骨な面構えやD型という小振りな車体が魅力的で、よく奥多摩を目指したことを思い出している。

そんな未熟な画像の中から、また1枚掲載しておく。青梅線を行くED16の貨物列車。石灰列車ばかり牽いていたと思われがちなED16だが、日に1~2往復くらいのローカル貨物列車の設定があった時代があった。写真は、空車のトキを連ねたローカル。懐かしい御嶽の大カーブをゆっくりと上がってきたシーン。今は、当時の何気ないこんなシーンに懐かしさや感動を覚えてしまうのだ。

1978-03-08   1695   ED16 8           青梅線:御嶽-川井


ピリオド奏法!新鮮な感覚の「歓喜の歌」

2021-12-20 19:00:00 | 音楽/芸術

もう「第九」のレビューを書く時期になってしまった。

いつものことながら、目まぐるしく時間が過ぎ去り、今年も残り半月となった。来年への展望などゆっくり考える時間もない、ギリギリの生活態度には我ながら呆れてしまうが、今は1日1日を大切に積み重ねていく他はない。

毎年暮れに開催のベートーヴェン「第九」のチケットは、選り好みしながら早々に決めて手に入れるのが通例だった。近年では、年間通して鑑賞している新日本フィルの第九のチケットを手に入れている。もちろん今一番好みのプレーヤーであるコンマスの崔文洙氏を率いる楽団であるからだが、今年はドイツ出身のシモーネ・ヤングが振るというから更に楽しみだった。しかしここへ来て、再び感染症が流行はじめ渡航禁止となり、あえなくヤング氏の来日は叶わなかったのである。

かくして指揮者が変更となり、鈴木秀美氏へスイッチした。もちろんその演奏は、今年3月に鑑賞した第5の時と同じような、無色透明の透き通った響きが、「歓喜の歌」を支配した。前半に演奏された「レオノーレ第3」をも含めて、鋭角的なくっきりした音色の世界。まさしく古楽器奏法、ピリオド奏法の世界だった。アントンK自身としては、長年第九を鑑賞してきた中でも、この手の演奏は皆無であり、CDも含めて古楽器奏法の第九は初かも知れない。最初から最後まで、目が離せない演奏だったと言える。ノンビブラートが徹底されて、かつ音色が減衰するからか、かえって聴きなれないフレーズが聴こえてきたり、いつになく新鮮に鑑賞することができたのだった。しかし毎年第九を聴きながら、感動してしまうポイントでも、何事も無く過ぎ去ってしまった感覚で、どこか空しくなったことも事実だ。どうやらアントンKには、ベートーヴェン演奏は感情的に気持ちを乗せた演奏の方が合っているようだ。大好きな第3楽章の出の部分、早めのテンポで1stヴァイオリンが奏でる第一主題も、悲しいくらい透き通っていて美しい音色。でもここは、やはりたっぷりと歌い、情感深く響かせた演奏を取りたくなるのだ。目の前のコンマス崔氏の演奏も、いつもの情感溢れ出る響きは徹底して消し去り、ノンビブラートに徹していた演奏だったから、なお更残念に思えてしまったのだ。

指揮者によって求める音楽の相違は当然のことながら、ここまで指揮者に寄り添い極限まで追求していくオーケストラの技術の高さは流石だと言いたい。スケジュール直前、突然の指揮者変更にも、何事も無かったように素晴らしい演奏を繰り広げたコンマス崔氏をはじめ、新日本フィルの団員たち全員にエールを送りたい。終演後、アントンKの目の前で終始熱演を繰り広げ、元ミュンヘン・フィルのザードロ並みの音とテクニックを披露していたティンパニの川瀬氏に、あまりにもその演奏が素晴らしかったので、気が付いたら思わずお声がけしてしまっていた。

新日本フィル・クリスマスコンサート2021

ベートーヴェン   序曲「レオノーレ」第3番 OP72b

ベートーヴェン   交響曲第9番 ニ短調「合唱付き」 OP125

指揮    鈴木 秀美

ソプラノ  森谷 真理

アルト   中島 郁子

テノール  福井 敬

バリトン  萩原 潤

合唱    二期会合唱団

合唱指揮  キハラ良尚

コンマス  崔 文洙

2021年12月18日 すみだトリフォニーホール


上越国境への序奏~EF15

2021-12-18 20:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

師走に入り、関東でも真冬並みの寒さを感じる日が増えてきた今日この頃。やはり温暖化が進んでいるのか、昔を思えばまだ生ぬるいとは感じてしまうが、確実に季節の移り変わりを感じられることへの感謝も日頃は忘れがち。一度立ち止まって深呼吸し、目の前の景色を想う心の安らぎはいつも持ち合わせていたいものだ。

この前どこかで、秩父鉄道に走る「デキ」という電気機関車が茶色に塗装変更され、まるでEF15だ!?との記述を読んだが、確かに車体色が茶色(実際EF15の茶色とは違って見える)になっただけで、現代のお若い鉄チャンにはEF15としてダブって見えるのだろう。デッキが付き貫通扉のある顔を持つ秩父の電機だが、アントンKには、どう転んでもそんな発想は出来なかった。アントンKにとっても、鉄道写真歴は、それなりに長くなってきてしまったが、EF15の現役時代には、武骨で地味な電機だったという印象だけが強く、率先して撮影に出た記憶はない。我々が蒸機現役時代を思うように、現代の鉄チャンたちも、国鉄時代に想いを馳せ、未だ現役のデキとEF15とをダブられているのだろう。やはり趣味は長く続けることが大切。その長い時間空間の中で、自らの心のより所が変化し、当時を懐かしみ、それまで出会った趣味人たちの顔が蘇ってくるのだ。そう、今にして思えば残された写真よりも、いつも身近に感じられた友人達に懐かしさや尊さを感じてしまう。これだけ継続できたのは、間違いなくその友人達の存在があるからに他ならない。これからもそんな尊い時間を少しでも長く持ちたいものである。

EF15の話題になったので、国鉄時代の上越線のシーンを掲載しておく。蒸機が走り今でもたまに出向くことのある上越線のこの区間。当時はまだ特急「とき」が現役だったが、ファンの姿は限られていて、あまり見かけなかった。渋川を出ていよいよ谷川岳越えへの序奏が始まり、深い山へと線路は切り込んでいく。もちろんメインは、水上-石打間のEF16の補機が付く区間だったが、群馬県側も好撮影地が点在していて好きな区間だった。この日は、冬型が強まり雪雲が谷川から流れ、チラチラ雪模様の肌寒い天気だった。今日あたり、この付近も冬景色になっていることだろうか。

1982-01-17        765       EF15152                上越線:上牧-水上


EF57に隠れてひっそりと・・・~中央線 ED61

2021-12-10 20:00:00 | 国鉄時代(カラー)

やはり同じ年代に撮影していた画像より・・・。

この当時、東北線でまさしく最後の活躍をしていたEF57には、ずっと憧れ、少しでも撮影したいと始発電車に乗っていたが、その一方で、青梅のED16や中央線のEF64などもいつも気になり、気の向くままに出かけていたことを画像から思い出している。ゴハチも含めてゴーナナには、いつも華があり、威厳があり、行く先々にファンを見かけたものだった。特に急客を牽くゴーナナの姿は、頼れる古武士のごとく実にスマートでカッコ良かった。しかし中央線を走るEF64・ED61や、青梅の専用貨を黙々とこなすED16には、そういった派手なパフォーマンスは感じず、目立たず地味な存在だったように思う。当時はある意味対極にあったED16やED61に、ゴーナナとは違う機関車の魅力を見出したのだと思われるが、アントンKの当時には、そんなはっきりとした意識は無かったはずだ。いずれにせよ、鉄道趣味を存分に楽しめた良き時代だったことには間違いないだろう。何も考えず、撮影に没頭出来た時間を持てたあの頃。今さらながら幸せだったと感じている。

掲載写真は、中央東線を重連で往くED61型電気機関車。新型電機のはしりの形式で、当時は大糸線や阪和線にED60が活躍していたが、ED61は後に中間台車付きに改造されてED62へと形式変更していったからか、随分と地味な生涯だったように感じる。午前中に下り2本のED61けん引の貨物列車があり、何度か撮影に出向いている。ここのポイントは、上下線が別れ、その間から少し見下ろしながら撮影しているが、いつトンネルから飛び出してくるのか、ヒヤヒヤものだったことを思い出す。当時から、トンネル断面が狭く、機関車のパンタグラフの高さに驚かされたことも懐かしい思い出となっている。

1976-09-26     1465  ED61 12+7      中央東線:四方津-梁川

 


真夏に躍る重連ハーモニー~EF58+EF57

2021-12-09 19:00:00 | 国鉄時代(カラー)

アントンKの鉄道写真、初期の時代はまだネガカラーフィルムを多用していたこともあり、画像をデータ化する上で大分厄介な状態になりつつある。ますます経年劣化が進行しているのだと思われるが、すでに色バランスが壊れてしまい、とても見られないだろうと廃棄対象だった画像も多々存在しているが、今では取りあえず何も考えずデータ化を進めている。最悪モノクロにして楽しめるか、とも思って半ば諦めているものもあるのが事実だが、自己満足の塊として、自分だけのお宝にしておきたい。

無謀にもそんな中から1枚上げてしまう。ゴーナナ最後の夏として沿線に繰り出た時の思い出の一コマだ。この時代は、EF57の運用をお知らせしてくれるテレフォンセンターがあったから、おそらくこの時のわかっていてカメラを構えていたことだろう。しかし何と!前機でEF58が付いてきてがく然としたはず。当時ゴハチは嫌われ者だったのだ。画像を見返すと、当時の悔しい思い出が蘇ってくる。熱く気だるい盆休みの午後だった。

1976-08-13     48列車     EF58 117+EF57 4    東北本線:久喜-白岡