杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

タイピスト!

2013年09月13日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年8月13日公開 フランス 111分

1950年代のフランスでは、社会進出しようとする女性たちの間で一番花形の職業は秘書だった。田舎から出てきたローズ(デボラ・フランソワ)もそんな一人で、保険会社を経営するルイ(ロマン・デュリス)の秘書となる。ドジで不器用すぎるため1週間でクビを宣告されるが、ローズにタイピングの才能を見出したルイは、彼女にある提案をする。当時秘書の中で、タイプライター早打ち大会で優勝することはステイタスとなっており、一大競技として人気を誇っていた。ルイはローズと組んで、タイプライター早打ちの世界大会で優勝を目論んでいた。地方予選に出場したローズは、初めて触れる試合の空気に飲み込まれあえなく敗退。ルイは1本指ではなく10本の指を使ったタイピングをするよう矯正し、難解な文学書のタイプやジョギングなどのハードなメニューを課して、ローズを特訓する。その甲斐あって地方予選を1位通過したローズだが、全仏大会には2連覇中の最強の女王が待ち構えていた……(Movie Walkerより)


秋めいてきたこの時期にはラブロマンスが観たくなる・・・というか、ハリウッド大作にちょっと疲れて軽い笑いを求めたくなったのかも
そして何よりタイプライターが脇役として輝いているのが気になったのでございます今やPCのキーボードが当たり前ですが、半世紀前はタイプライターこそが花形として脚光を浴びていたのですよそしてそのことを知る世代の一員としては懐かしさを感じずにはいられなかったのです。(もちろん作品の時代に同じ青春を過ごしていたわけではありません

まず惹かれたのがヒロインのローズのキュートさ
鼻っ柱が強くて、でも気が利かなくてKYなところもあるのですが、思ったことをストレートに口にしても相手を怒らせないおきゃんな娘なの。

初めは恋愛の対象として互いに視野にも入っていなかった二人が、やがて相手の存在を意識し、なくてはならない存在として認めていく過程はラブコメの定番のコースですが、そう思ってもやっぱり面白いんです。

厳格な父の下、一番こそが素晴らしいと思い込んでいるルイの、父親に認められたいという当人も気付いていなかった願望をすぐに見抜くローズは、決して頭の悪い田舎娘ではありませんよね

ルイは親友のボブの妻になっている幼馴染のマリーにまだ気持ちが残っていました。戦争(ノルマンディー上陸作戦の名前が出てくるあたりが時代背景を物語っているね)が二人の仲を裂いたとも言えますが、本当は自分に自身が持てずにいたルイの逃げ腰が彼女に別れを決意させたんだね。そしてマリーの力添えでルイはローズへの想いを自覚し行動を起こすのでした。やっぱ、女っていざという時の底力があるよね~

フランス大会で優勝したローズが世界大会に出るにあたって、彼女のためにと大手タイプライター会社へ行かせたルイの気持ちを知ってか知らずか、どんどん有名になっていく彼女が、みるみる洗練された美しい女性に変身していく過程は、女の子の夢の実現を衣装や髪形などで表現していて観ているだけで楽しいです

決戦の相手は宿敵アメリカの女性。スーツに身を包んだいかにも!なオールドミスタイプなので、対するローズのピンクのスイートなドレスと可憐さが引き立つことったら
最後の決戦でローズの古いタイプのアームが絡んでしまう場面では「あるある~!」と実体験が浮かんできました。タイピングが早すぎたり一度に複数のキーを叩いてしまうとよく起こる現象でしたもんね
もちろん最後はハッピーエンドですから、楽しい気分で劇場を後に出来ます

劇中で、従来のタイプアームからタイプボール(ゴルフボールのような形状の表面に活字が並ぶ)へと変わる兆しがルイの発明として登場するのも歴史的な面白さがあります。それをアメリカの企業に売り込んだという設定にユーモアを感じてしまいました。

さすがに観客はほぼ女性のみ。年齢はけっこう幅広かったな
タイプライターを知ってる世代も知らない世代もそれぞれに楽しめる要素のある作品です

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