杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

エリジウム

2013年09月30日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年9月20日公開 アメリカ 109分

2154年、人類はスペースコロニー「エリジウム」に住む富裕層と、荒廃した地球に住む貧困層とに二分されていた。エリジウムにはどんな病でも一瞬で完治する特殊な医療装置があり、住人は死の恐怖と無縁の人生を謳歌していた。エリジウム防衛長官デラコート(ジョディ・フォスター)はその完璧なまでに美しい生活を維持するため地球からの移民を禁じ、密入国者を排除していた。地球に住むマックス(マット・デイモン)は、過酷な工場労働に従事していたが、事故で大量の照射線を浴び余命5日と宣告され解雇される。生きるためエリジウム行きを決断した彼は、レジスタンスのスパイダー(ヴァグネル・モーラ)と取引をして、ある任務の遂行と引き換えにエリジウムに潜入することを決意するが・・・。


最近の近未来映画作品では、富裕層と貧困層の二極化された世界が良く描かれるけれど、今回も例外ではありません。地球が汚染されてしまったのはその富裕層の欲望の追求の結果で、なのに負債は貧困層に押し付けられ荒廃した地球に見棄てられるというのは、まさに現在の世界情勢を写しているようで、何だか哀しい気持ちになってしまうなぁ

劣悪な環境下で貧困層は子沢山となり人口過密が生じる→犯罪が増加するという図式です。マックスも子供の頃から生きるために犯罪に手を染めて、留置所送りも何度か経験しています。幼馴染のフレイ(アリシー・ブラガ)といつかエリジウムに移住することを夢見ていましたが、大人になった今、しがない工場労働者として日々を過ごしていました。
そんな生活が一変したのは、工場で事故に遭い余命5日の身となったからです。用済みとばかりに工場を解雇されたマックスは生き延びるためにエリジウムに何としても潜り込まねばならなくなったのです。

マックスは過去の犯罪で貸しのあるスパイダー(ヴァグネル・モーラ)にエリジウム行きの切符を要求しますが、エリジウム市民が脳内に保管している莫大な預金や資産などのパスワードを手に入れるように要求され、工場の経営者カーライル(ウィリアム・フィクナー)を襲うの。そりゃ恨みがあるもんねぇ

ところがカーライルはデラコートと裏取引の陰謀に加担していたことから、マックスは陰謀の鍵を握る重要人物となってしまうのね
彼を捕えるべくデラコートは傭兵クルーガー(シャールト・コプリー)を差し向けます。手下を連れた彼らとの立ち回りも見所の一つでしょうけれど、戦いシーン苦手なので脳がスルーしちゃった

負傷した自分を手当し匿ってくれたフレイと彼女の娘マチルダがクルーガー一味に捕まったことを知ったマックスは、自分からわざと捕まりエリジウムに潜入することに成功します。
彼の後を追ってやってきたスパイダーたちと合流しフレイ母子を助け出したマックスは、既に余命が尽きかけていました。脳のデータをアップロードすることはそのまま彼の死を意味すると知り、マックスは決断します。彼の自己犠牲により、地球に住む人々もエリジウムの市民権を得て医療の恩恵を受けられることになるのでしためでたしめでたし

マックスの心の変化は、マチルダとの会話(カバの寓話)がきっかけとなっています。
デラコート長官の死に方は無様 野心ギラギラな人間は猜疑心も強いんじゃないの?と思うけど、慢心した人間の油断ってことになるのかしらん?結局人はどんな未来でもどんな世界でも愚かしいことをしでかす生き物なのかと思うとやりきれない気もします。 でも一方でマックスのように、他者のために自己を犠牲にすることも出来るのが人なのですね。

マックスの親友フリオ役がディエゴ・ルナで、掃溜めにツルのような美形にうっとりなんですが、割と早くにマックスを庇って殺されちゃうのがちょっと残念


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パラノーマン ブライス・ホローの謎

2013年09月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年3月29日公開 アメリカ 92分

300年前に魔女狩りの現場となったと言われているブライス・ホローの町に暮らす少年ノーマンは、死者と話せるという特殊な能力があった。しかし、そのせいで周りからは変人扱いされ、学校ではイジメに遭っていた。そんなある日、疎遠になっていた叔父がノーマンにある使命を託して急死してしまう。その使命とは、封印された魔女の魂が悪霊を呼び覚まして町を滅ぼそうとするのを阻止すること。死者と話す能力をもった者たちが何代にもわたり町を守ってきたことを知り、叔父からその役割を受け継いだノーマンは、封印された魔女の正体を解き明かし、町を守るために立ち上がる。


3Dストップモーションアニメなのですが、レンタルなので2D鑑賞
苛められっ子が主人公でゾンビが出てきたりと画面も暗めですが、主題はまっすぐです。

ノーマンは、ホラー映画や悪霊伝説が大好きだということを除けば、どこにでもいる普通の11歳の少年です。ただ、死者と会話できるという、通常では誰にも理解されない能力を持っていたため、周囲から甚だしく浮いた存在となっています。そりゃ、普通の人には死者は見えないのですから、気味悪い子と思われるよねぇ
お父さんやお姉さんですら、彼を理解できない中、唯一お母さんだけは受け入れているようですが、ノーマンの目にはなくなったおばあちゃんだけが味方と映っているようです。

そのおばあちゃんの助言で叔父さんとの約束を果たそうとするノーマンですが、間違えて墓場から7人の死者を蘇らせてしまい町は大混乱にこの騒動に巻き込まれたのが姉のコートニーと友達のニールとその兄のミッチ。初めは信じなかったコートニーやミッチですが、一緒に行動しているうちにノーマンの言うことを信じ、彼を助けるようになるのが良いね

実は死者たちは、無実の少女を魔女裁判にかけ死刑にしたため、彼女の呪いを受けていたのでした。ノーマンは呪いを解き町を救うために少女と話をしようとします。それは前任者たちが誰もしなかったことでした。いじめや偏見を身を以て経験し、辛い思いをしたけれど、同時に守ってくれる、助けてくれる人がいることにも気付いたノーマンだからこそ、彼女の心に届く言葉を持っていたのですね。

人は自分と違う者を受け入れるのが苦手で、時には恐れ排除しようとします。
でもそれじゃダメなんだよ、違いを認めて、仲良くしていこうよというメッセージを感じました。

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