杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

アメリカン・ハッスル

2014年08月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年1月31日公開 アメリカ 138分

詐欺師のアーヴィン(クリスチャン・ベイル)は愛人のシドニー(エイミー・アダムス)を相棒に絵画詐欺を計画していたが、FBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕される。彼はアーヴィンに司法取引を持ち掛け、二人は無罪放免を条件に協力させられる。それは、カジノに絡む政治家たちの汚職を暴くためのおとり捜査で、架空のアラブ人富豪をダシに、カジノ利権に群がる政治家やマフィアを一網打尽にするというものだった。アーヴィンとシドニーは、標的のカーマイン市長(ジェレミー・レナー)に近づくが、二人の仲を嫉妬(しっと)するアーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)がおとり捜査の邪魔をして・・。



アメリカで起こった収賄スキャンダル(詐欺師がFBIに協力し、おとり捜査によって真相を暴いた)「アブスキャム事件」を基にした映画だそうです。

ニュージャージー州アトランティックシティのカーマイン市長はイタリア系の家族や市民思いの男として描かれています。彼は貧困層も職を得られるよう、カジノ誘致に必死ですが、賄賂を受けて私腹を肥やそうとは考えていません。ところが、功を焦るリッチーがおとり捜査でカジノ利権の贈賄事件を仕掛けて大物政治家を逮捕しようと画策し、その手先に詐欺師のアーヴィンが使われるという筋書きでした。

アーヴィンは保身のために渋々リッチーに従って、カーマインに近づきますが、彼の人柄を知るにつけ罠にはめることに罪悪感を持つようになります。このアーヴィンという人物、外見は冴えない中年男で腹も出てるし頭髪も薄くてとても魅力的とは言い難い。妻も愛人も大事で、どちらも失いたくないという男の狡さもあります。まぁ、妻に対しての気持ちというより彼女の連れ子を溺愛してるという感じでしたが

妻のロザリンはおバカなのか利口なのかイマイチ掴みきれないのですが、自らの欲望にとっても忠実な女性でしたシドニーは賢くて、アーヴィンのことを本当に愛していて、だから最終的にアーヴィンがシドニーを選ぶのも納得です

カーマインが罠にかかり、大物マフィアのテレジオ(ロバート・デ・ニーロ)までが登場するとさすがにアーヴィンも身の危険を感じてきます。事がばれたら、マフィアの復讐の矛先はFBIではなく自分と家族、シドニーに向かうからです

そこで彼は一計を案じ、カーマインに真実を話し、テレジオとも密約を取り付けるの。
市長と、彼が取り持った悪徳政治家たちは泥縄的に逮捕されるのですが、リッチーのあくどい計略と相殺されて市長の刑期は短縮されます。またテレジオもお金を受け取っていないので罪にはならず、ということはアーヴィンたちの危険も取り除かれたのでした

自分の出世のために、むりくり大物を罠にはめようとしたリッチーが、アーヴィンに出し抜かれて出世から脱落するのはいい気味詐欺師やマフィアという悪の側の方がまともに見えるのが可笑しかったです。

ファッションや音楽、そして市長のリーゼントが70年代を彷彿させる楽しい映画でした。

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