杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ハミングバード

2014年10月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年6月7日公開 100分 イギリス

ジョゼフ・スミス(ジェイソン・ステイサム)はかつて特殊部隊を率いる軍曹だったが、戦場で犯した罪により心に傷を抱え、家族や社会から逃れてロンドンの片隅でホームレスとして息を潜めて暮らしていた。ある晩、唯一心を通わせた少女が拉致されたことで、彼の人生が大きく動き出す。彼女を救うために他人になりすまし、裏社会でのし上がっていくジョゼフ。しかし、少女の残酷な運命を知ったとき、彼の怒りは決壊、復讐の炎と化す。過去に犯した罪、そして自らの人生にも決着をつけるため、ジョゼフが最後に下した決断とは──?


これ、どうしてチョイスしたのか覚えていなかったのですが、きちゃないホームレスの男が長期留守している金持ちの部屋に入り込んで髪を切ったら・・・ジェイソン・ステイサムじゃないですかぁだからレンタルしたんだ!とこの時点でやっと気づく自分に呆れるそういえば、冒頭の兵士のシーンでチラッと映ってたんだった
それにしても「トランスポーター」の白いワイシャツとスーツが似合う俳優さんだねぇ。

題名からファンタジー色がしたんだけど、戦争でトラウマを抱えた脱走兵が、ロンドンの片隅で生きることにもがく姿を描いた重い作品でした。「イースタン・プロミス」の脚本家スティーブン・ナイトの初監督作品だそうです。なんか・・・納得
とはいえ、知り合った修道女に束の間の安らぎを見出すあたりはファンタジーと言えなくもないか?

ロンドンのホームレスの一割は元兵士だとか
ジョゼフは戦場での体験により元の生活に適応出来なくなり苦しんでいます。
ハミングバードとは、アフガニスタンで使用された、無人偵察機の通称ですが、映画の中では“全てを見通す目”の象徴となっています。戦場でしてきた非道な行いを彼自身の良心が咎めていて、それがフラッシュバックとなって現れ、彼を苦しめます。

懇意にしていた少女が浚われ、彼女の行方を捜すために他人になりすまし、金を貯め情報を求める彼は、束の間生きる目的を見出したかのようです。売春婦にさせられていた少女を悲惨な最期をに追いやった犯人をパーティ会場のビルの屋上からいきなり突き落したやり方には驚きましたが、彼なりの罰し方なのでしょう

炊き出しの奉仕活動をしているシスター・クリスティナ(アガタ・ブゼク)とは心に傷を負っ
た者同士、ある種の絆のようなものを感じて急接近していくのですが、最後に彼が下した決断は結局は自分自身で過去に向き合わなければならないというものでした。

冴えない修道女姿から一転、ジョゼフが贈った真っ赤なドレス姿のクリスティナは溜息のでそうな美しさです彼女の犯した罪は正当防衛(過剰ではあるけれど)と呼べるもので、そのことで人生そのものを捨てる生き方には賛同しかねますが、信仰に逃れた彼女がさらに自らを罰するような選択をするのも、ジョゼフがホームレスに戻ることを選んだのも根っこは同じ考え方なんだろうなぁと思いました。

ジョゼフは裏社会の仕事で稼いだお金を残してきた妻子に渡し、クリスティナに撮ってもらった「普通の」姿の自分の写真を娘に渡します。それは彼のけじめであり愛情の示し方だったのでしょう。なりすましていた男性の部屋にも使い込んだお金と家賃相当の金額を返すあたりに本来の律儀な性格が出ているんじゃないかしらん
彼が本当の意味で罪を償い自分を許せる日は来るのかな?

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