杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ロボコップ

2014年10月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年3月14日公開 アメリカ 117分

2028年デトロイト。巨大多国籍企業『オムニコープ社』は、軍事用ロボットを世界各国に配備して莫大な利益を得ていたが、本国アメリカではロボット配備を規制する『ドレイファス法』の前に販路拡大を阻まれていた。心を持たないロボットに人間の生殺を任せることに反発する世論を味方に付けるため、CEOのレイモンド・セラーズ(マイケル・キートン)は、サイボーグ技術の権威であるデネット・ノートン博士(ゲイリー・オールドマン)を使い、機械のボディに人間の頭脳を融合させた『ロボコップ』計画を立ち上げる。被験者として選ばれたのは、相棒のジャック(マイケル・ケネス・ウィリアムズ)と武器密輸組織の内偵中に同僚の汚職刑事の仕掛けた爆弾により、重度の火傷と手足の切断という重傷を負ったアレックス・マーフィ刑事(ジョエル・キナマン)だった。彼の妻クララ(アビー・コーニッシュ)の同意を得てロボコップとして蘇ったアレックスだが、性能テストの結果ロボットより判断が遅れるという欠陥が見つかる。
性能アップのために感情を抑制されたアレックスは、妻子や相棒を見ても機械的な対応しか出来ない文字通りのロボットとなり、次々と凶悪犯を捕らえて市民から熱烈な支持を得ていく。世論もドレイファス法の撤廃へと傾いていくが、クララと再会した事で、アレックスの感情が蘇り、自らの意思でプログラムを書き換えた彼は、自分が重傷を負った事件の犯人を一掃し警察内部の汚職をも暴き出してしまう。この事態に、法撤廃の目的を達した後に彼が社のお荷物になり都合の悪い汚職まで暴かれかねないと案じたセラースは、ロボコップを停止させ葬り去ろうとする。その企みに気付いたノートン博士の助けでラボを脱出したアレックスは、家族を守るために決死の反攻を開始、ジャックの援護を受け、片腕を失い満身創痍になりながらもセラーズを倒すのだった。


1987年製作の『ロボコップ』のリメイクだそうです。
主人公はロボコップだと思っていたのですが、そうでもないような
むしろノートン博士の方が主役なんじゃなかろうか

オムニコープ社の広告塔のような存在でTV番組司会者のパット・ノヴァック(サミュエル・L・ジャクソン)が度々登場して、いかにオムニ社のロボットが優れているかを宣伝し世論を誘導しようとする場面が出てきます。そのあからさまなオムニ社賛美の姿勢が逆に胡散臭さを醸し出していて観る側に逆説的な説得力を与えています。特にラストでの感情的なセリフには、権力側の驕りが込められていて痛快な皮肉でした

重傷を負ったアレックスは頭・心臓・肺と片手以外は全て器械です。意識が戻った彼はいっそ死をと願うのですが、博士に妻子のために生きろと説得されロボコップとして働くことを了承します。
その博士は、自分の研究が応用されることに戸惑いながらも科学者としての好奇心の方が勝っているように感じられました。問題があっても納期(記者会見)に間に合わせるよう強制された際にはアレックスの感情を抑制させるなどは、彼を人として扱っていれば到底許容できないことだと思います。未知の領域への関心やデータへの興味が博士を駆り立てていたのでしょう。しかし、アレックスを抹殺するよう示唆されて、表向きは了承しながらも、彼は初めてセラーズに逆らってアレックスを逃がすのです。それは博士の人間としての良心からでしょう。感情を抑制されて家族にも無関心になってしまったアレックスを見て、博士の中に疑問や迷いが生じていたのかもしれませんね。

アレックスのプログラムは、セラーズら社の幹部を攻撃できないよう設定されていましたが、セラーズが妻子に銃を向けた時、彼の感情がプログラムを破ります。それは人が機械に勝った瞬間です。どんなにコントロールしようとしても人間の感情ほど扱いにくいものはないのだと強調しているようにも見えました。

いったんはドレイファス法を破棄した議会ですが、この件を受けて大統領は法案破棄を棄却します。それはどんなに機械が優れていても、人の社会(治安)を任せるべきは人であるという決定でもあります。
しかしねぇ・・・アメリカでダメなものは他の国でもダメってことじゃないのかしらん?
自国さえ安全ならそれでいいのかい?

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