2014年3月15日公開 イギリス・アメリカ・フランス合作 98分
イギリス。善良で信仰心が篤い田舎の主婦フィロミナ(ジュディ・デンチ)は、娘のジェーン(アンナ・マックスウェル・マーティン)とともに穏やかな生活を送っていたが、ある日、50年間隠し続けてきた秘密をジェーンに打ち明けた。1952年、アイルランド。10代で未婚のまま妊娠したフィロミナ(ソフィ・ケネディ・クラーク)は家を追い出され、強制的に修道院に入れられる。そこでは同じ境遇の少女たちが、奉公人のように働かされていた。フィロミナは男の子を出産、アンソニーと名付けるが、面会は1日1時間しか許されず、やがて修道院は、3歳になったアンソニーを養子に出し、フィロミナは「息子の行方を捜さない。誰にも息子のことを話さない」という誓約書に署名させられた。それから50年、アンソニーのことを探し続けていたフィロミナは、彼の50歳の誕生日に、初めてジェーンに父親違いの兄の存在を明かしたのだった。事実を知ったジェーンは、母のために、あるパーティで知り合った元ジャーナリストのマーティン(スティーヴ・クーガン)に話を持ちかける。愛する息子にひと目会いたいと願うフィロミナと、ジャーナリストとしての再起をかけたマーティンは、アメリカの地で思いもよらぬ事実を知ることになる。
マーティン・シックススミスの『The Lost Child of Philomena Lee』が原作。
これが本当にあったことだということに衝撃を受けました。
修道院が子供を金持ちのアメリカ人に売っていたというのですから・・・。
初めは乗り気ではなかったマーティンですが、フィロミナと訪れた修道院で秘密の臭いを嗅ぎ取り、これが自分の成功の足掛かりになると思って俄然積極的になります。それまでは田舎のお婆ちゃんの振る舞いに閉口していた感がありありでした。確かにダサい店での食事や飛行機でサービスとわかるとお酒を注文したり、恋愛小説の筋書きの話などは今までのマーティンには縁がないことばかりですものね。
フィロミナの息子がアメリカで元政府高官の地位まで上り詰めていたことが判明して喜んだのも束の間、彼は既に死亡していました。傷心のままイギリスへ戻ろうとした彼女を引き留める術もないマーティンでしたが、フィロミナの方で息子がどんな人生を歩んだのかを知りたいと申し出るのです。それは母として当然の思いです。マーティンが一度だけホワイトハウスで会ったことがあることを思い出すと、その時の様子をどんな些細なことでも良いから話してというフィロミナに母の子供を思う気持ちが痛いほど伝わってきます。
息子が実はゲイであったと知っても彼女は驚きません。小さな頃から繊細な子だったからと言うだけで事実をあるがままに受け入れようとします。息子の恋人だった男性に話を聞こうとしてマーティンが断られた時も彼女の真摯な思いが扉を開かせます。そして修道院がお金で子供たちを売っていたこと、息子が修道院を訪ねて実母(フィロミナ)の居所を聞いた時に母親は彼を捨てて行方不明と言われたという事実を知ります。
シスター・ヒルデガード(バーバラ・ジェフォード)がフィロミナたちに辛く当たったのは、その偏った信仰心が少女たちの犯した罪を許さなかったからですが、本心は自分は一生経験できない行為を彼女たちがしたことへの嫉妬心があったのは疑いようもないでしょう
逆子でも医師に診せることもなく「これも神が与えた罰です」と言い放つ冷酷さに身震いします。彼女のように神を自分の中で都合の良いように解釈してそれを押し付ける身勝手さは現代では到底受け入れることができません。まして子供を売っていたなんて・・・。
でもフィロミナは全てを知った後で彼女を赦すのです。それは彼女の信仰心の強さでもあります。一方神を信じていないマーティンはヒルデガードに「僕はあなたを赦せない」と言い放ちます。それはそのまま自分の思いでもあったのでこのシーンはちょっと胸がすく気がしました。
結局このことはマーティンが記事にして世界に知られたのですから、ヒルデガードたちは罰を受けたとも言えるのかもしれませんね。
イギリス。善良で信仰心が篤い田舎の主婦フィロミナ(ジュディ・デンチ)は、娘のジェーン(アンナ・マックスウェル・マーティン)とともに穏やかな生活を送っていたが、ある日、50年間隠し続けてきた秘密をジェーンに打ち明けた。1952年、アイルランド。10代で未婚のまま妊娠したフィロミナ(ソフィ・ケネディ・クラーク)は家を追い出され、強制的に修道院に入れられる。そこでは同じ境遇の少女たちが、奉公人のように働かされていた。フィロミナは男の子を出産、アンソニーと名付けるが、面会は1日1時間しか許されず、やがて修道院は、3歳になったアンソニーを養子に出し、フィロミナは「息子の行方を捜さない。誰にも息子のことを話さない」という誓約書に署名させられた。それから50年、アンソニーのことを探し続けていたフィロミナは、彼の50歳の誕生日に、初めてジェーンに父親違いの兄の存在を明かしたのだった。事実を知ったジェーンは、母のために、あるパーティで知り合った元ジャーナリストのマーティン(スティーヴ・クーガン)に話を持ちかける。愛する息子にひと目会いたいと願うフィロミナと、ジャーナリストとしての再起をかけたマーティンは、アメリカの地で思いもよらぬ事実を知ることになる。
マーティン・シックススミスの『The Lost Child of Philomena Lee』が原作。
これが本当にあったことだということに衝撃を受けました。
修道院が子供を金持ちのアメリカ人に売っていたというのですから・・・。
初めは乗り気ではなかったマーティンですが、フィロミナと訪れた修道院で秘密の臭いを嗅ぎ取り、これが自分の成功の足掛かりになると思って俄然積極的になります。それまでは田舎のお婆ちゃんの振る舞いに閉口していた感がありありでした。確かにダサい店での食事や飛行機でサービスとわかるとお酒を注文したり、恋愛小説の筋書きの話などは今までのマーティンには縁がないことばかりですものね。

フィロミナの息子がアメリカで元政府高官の地位まで上り詰めていたことが判明して喜んだのも束の間、彼は既に死亡していました。傷心のままイギリスへ戻ろうとした彼女を引き留める術もないマーティンでしたが、フィロミナの方で息子がどんな人生を歩んだのかを知りたいと申し出るのです。それは母として当然の思いです。マーティンが一度だけホワイトハウスで会ったことがあることを思い出すと、その時の様子をどんな些細なことでも良いから話してというフィロミナに母の子供を思う気持ちが痛いほど伝わってきます。
息子が実はゲイであったと知っても彼女は驚きません。小さな頃から繊細な子だったからと言うだけで事実をあるがままに受け入れようとします。息子の恋人だった男性に話を聞こうとしてマーティンが断られた時も彼女の真摯な思いが扉を開かせます。そして修道院がお金で子供たちを売っていたこと、息子が修道院を訪ねて実母(フィロミナ)の居所を聞いた時に母親は彼を捨てて行方不明と言われたという事実を知ります。
シスター・ヒルデガード(バーバラ・ジェフォード)がフィロミナたちに辛く当たったのは、その偏った信仰心が少女たちの犯した罪を許さなかったからですが、本心は自分は一生経験できない行為を彼女たちがしたことへの嫉妬心があったのは疑いようもないでしょう

でもフィロミナは全てを知った後で彼女を赦すのです。それは彼女の信仰心の強さでもあります。一方神を信じていないマーティンはヒルデガードに「僕はあなたを赦せない」と言い放ちます。それはそのまま自分の思いでもあったのでこのシーンはちょっと胸がすく気がしました。
結局このことはマーティンが記事にして世界に知られたのですから、ヒルデガードたちは罰を受けたとも言えるのかもしれませんね。