杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

フライト・ゲーム

2015年03月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年9月6日公開 アメリカ 107分

146人の乗客乗員を乗せたニューヨーク発ロンドン行の旅客機に、警備のため搭乗した航空保安官ビル(リーアム・ニーソン)。しかし、離陸直後、ビルの携帯電話に「1億5000万ドル送金しなければ、20分ごとに機内の誰かを殺す」との匿名の脅迫メールが届く。限定されたネットワークからメールが送信されたことから同僚が犯人ではないかと思いつつ、犯人の特定に奔走するビル。やがて1人目の犠牲者が出てしまい、ビルは乗客を拘束して荷物や携帯電話を調べるが、手がかりは見つからない。2人目、3人目と犠牲者が続くなか、やがて犯人の指定する口座がビルの名義だと判明。ビル自身にも疑惑の目が向けられてしまう。


高度1万2000メートルの飛行機内という密室空間での戦いを描いたサスペンスアクションです。
ルピタ・ニョンゴがナンシーの同僚のグウェン役で出演しています。

ビルは家族を犠牲にして仕事優先の人生を送ってきたけれど愛娘を病で失ったことから立ち直れずにアルコール中毒になっています。勤務態度にも問題が生じており、上司や周囲からも要注意人物扱いなの。
事件が起きてからは、その直情傾向の暴力的姿勢が逆に乗務員や搭乗客らの疑いを招き、信用されません。
まぁ、あれだけ問答無用の高飛車な態度を取られたら素直に耳を傾けられる筈ないよね
それでもただ一人、最後までビルを信じてくれたのが、隣に座ったジェン(ジュリアン・ムーア)でした。窓際に固執する彼女のことも疑ってかかるビルですが、その理由(重病を経て人生を最大限に楽しもうとする姿勢)を知ってからは信用するようになります。

狭い機内でのやり取りは緊迫感がありますが、どうしても暴力シーンの多さが気になりました。
初めの犠牲者は同僚のジャック(アンソン・マラント)。実は弱みを握られ脅されて犯行に加わっていたのですが、元々ビルとの折り合いも悪かったようです(身を守るためとはいえ、首の骨を折る前にもう少し加減できないのかよぉぉ)客室乗務員のナンシー(ミシェル・ドッカリー)やジェン、スマートホンのプログラマーのザック(ネイト・パーカー)やアラブ系の医師らの協力をあおぎながら、怪しい行動をしたトム(スクート・マクネイリー)ら乗客の何人かをピックアップして締め上げますが、なかなか尻尾を掴めない中、20分に一人ずつ殺されていきます。

やがて、犯人から要求された身代金の振込先がビル名義の口座だと判明し、乗客の一人がビルの暴力的な捜査をネットにUPしたこともあり、世間はビルが犯人のテロリストだと断定します。そのニュースは機内にいる乗客たちにも伝わり、粗暴なビルの振る舞いに反感を持つNY市警のライリー(コリー・ストール)ら乗客有志が逆にビルを捕えようとするの。誤解が解けた後はビルの協力者になってくれるんだけどね

ネットにUPされた映像に真犯人が映っていることに気付いたビルですが、彼が気付いたと知った真犯人が遂に行動を起こします。彼の理由が9.11事件に端を発しているというのはちょっとこじつけな気もするけれど、初めから自爆目的な主犯人と違って相棒の方は大金目的彼らの目的の違いに気付いたビルが陽動作戦に出ますが、時遅く爆発は止められません。(真犯人たちとビルの間に搭乗前から絡みがあったことに後から気付き、もう一度見返して確認したりも)それにしてもあの規模で爆発してよくぞ生きて地上に戻れたものだ副操縦士のカイル(ジェイソン・バトラー・ハーナー)って腕は良かったのね

父親の待つロンドンへ初めて飛行機に乗る少女ベッカ(クイン・マッコルガン)との交流エピソードは暴力的なシーンが多い中、癒し効果がありました この事件をきっかけにきっとビルは立ち直るのよね

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風に立つライオン

2015年03月18日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2015年3月14日公開 139分

1987年、アフリカ医療に生涯を捧げたシュバイツァーの自伝に感銘を受け医師になった航一郎(大沢たかお)は、ケニアの研究施設に派遣される。離島医療に従事する両親の元で共に働くことを決めた恋人の女医・貴子(真木よう子)とは遠く離れることになったが、ケニアの地で充実した日々を送っていた航一郎は、半年後、現地の赤十字病院から1カ月の派遣要請を受ける。次々に運び込まれる麻薬を打たれて戦いを強いられた挙句、重傷を負った少年兵たちの姿に衝撃を受けた航一郎は、この病院への転籍を志願して、同じく派遣されてきた看護師の和歌子(石原さとみ)と力を合わせ、傷ついた少年たちを温かく包み込んでいく。ある日、病院に深刻な心の傷を抱えた少年兵ンドゥングが担ぎ込まれ、航一郎は真正面から彼に向かっていくが……。


さだまさしの名曲「風に立つライオン」は、ケニアで国際医療ボランティア活動に従事した実在の医師・柴田紘一郎氏に感銘を受けて作られた歌で、多くの人々に影響を与えた楽曲でもありますが、その中の一人である俳優の大沢たかおさんが小説&映画化を熱望して今回の映画が実現したそうです。映画化にあたっては、約一か月にわたるケニアロケが行われました。監督は三池崇史。

元々映画化があっての小説でしたから、筋書きは変わりません。ンドゥグと木場との石巻での交流のエピソードがそっくり抜け落ちている点だけが異なりますが、時間の制限のある映画では、ある程度絞った方が観客に伝わりやすいという面があるので、すっきりまとまった脚本になっていたと思います。

目の前で両親を惨殺され、麻薬を打たれて兵士にされたンドゥングは心を閉ざし、航一郎や和歌子たちスタッフにも打ち解けようとしません。それでも航一郎は自分に「ガンバレ!」とエールを送りながら、ンドゥグの頑なな心の扉を何度も叩くのです。
いずれ通り過ぎるだけの異邦人と思っていた航一郎が再び現れた時、ンドゥグの気持ちに変化が現れます。そしてXマスの夜、彼は自分の想いを吐き出すことができたのです。
彼に8人殺した自分でも医者になれるのかと問われた航一郎は「医者になって9人の命を救えばいい」と答えます。小説でもそうでしたが、このエピソードが一番心に響くシーンでした。

航一郎と関わりのある人たち同僚で友人の青木(萩原聖人)医師、村上所長(石橋蓮司)、貴子らへのインタビューという形式で進んでいくのは小説と同じです。彼らの過去形の言い回しが、ある事実を如実に伝えていますが、それは決して絶望ではないことが、ラストで瓦礫跡に佇む少年に青年が名乗った「ミケランジェロ・航一郎・ンドゥグ」という一言でわかります。
一人でも多くの命を救いたいというその熱意故に航一郎は不幸に見舞われますが(遺体が発見されないという点も小説と同じ)、その志を継ぐ者が確かに存在しているのだということがこのラストではっきりと示されたのです。

欲を言えば、最後に流れる歌をバックに「100万羽のフラミンゴが飛び立つ」姿や、「キリマンジャロの白い雪」「草原の像のシルエット」など歌詞に沿ったケニアの風景をバック目でも味わいたかったなと思いましたが、ベタ過ぎかな

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