杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

海賊とよばれた男

2017年09月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年12月10日公開 145分

主要燃料が石炭だった当時から、石油の将来性を見抜いていた国岡鐡造(岡田准一)は、北九州・門司で石油業に乗り出すが、その前には国内の販売業者や欧米の石油メジャーなど、常に様々な壁が立ち塞がり行く手を阻んだ。しかし鐡造は、どんなに絶望的な状況でも決して諦めず、それまでの常識を覆す奇想天外な発想と型破りの行動力、何よりも自らの店員(=部下)を大切にするその愛情で、新たな道を切り拓いていった。その鐡造の姿は、敗戦後の日本において、さらなる逆風にさらされても変わることはなかった。そしてついに、敗戦の悲嘆にくれる日本人に大きな衝撃を与える事件が発生する。石油メジャーから敵視され、圧倒的な包囲網により全ての石油輸入ルートを封鎖された鐡造が、唯一保有する巨大タンカー「日承丸」を、極秘裏にイランに派遣するという狂気の行動に打って出たのだった。イランの石油を直接輸入することは、イランを牛耳るイギリスを完全に敵に回すこと。しかし、イギリスの圧力により貧困にあえぐイランの現状と自らを重ね合わせた鐡造は、店員の反対を押し切り、石油メジャーとの最大の戦いに臨む。果たして、日承丸は英国艦隊の目をかいくぐり、無事に日本に帰還することができるのか?そして鐡造は、なぜ海賊とよばれたのか?その答えが明らかになる・・。(チラシより)


百田尚樹の同名小説の映画化です。国岡鐵造のモデルは出光興産創業者の出光佐三氏です。

店を存続させ、店員を養うために、漁師相手に船で燃料を売りにいくような無茶な商売をしたことから「海賊」と呼ばれるようになった国岡は、当然組合からも嫌われています。それが尾を引いて、戦後に組合から石油を回してもらえず窮地に陥るのですが、アメリカから突き付けられた難題を引き受けることで脱します。それは海軍燃料タンクの底に残った油の回収という過酷な作業でした。暗く悪臭のするタンク内で、泥混じりの大量の油を前に怖気づく店員たちでしたが、「戦争に比べたらなんのこれくらい」と作業に臨む店員たち・・いや、それってかなり危険だから!現場を訪れた国岡も率先して作業に臨んだりして士気は嫌でも高揚します。スポ根ものと勘違いしそうだぞ。

後半では、拿捕される危険を承知でタンカーをイランに派遣しますが、事前に知っていたのは船長(堤真一)だけで、船員たちは航海中に行先がイランであることを告げられるのです。そこで「嫌」って言えないでしょ、フツー危険な状況での連帯感や高揚感で一丸となる図は極めて危険な臭いがします。もちろん、国のためにという行為自体を非難するつもりはありませんが、それでも個人を犠牲にする姿勢に危うさを感じてしまいました。

彼らの団結を象徴するような音楽と歌が効果的に挿入されますが、これにも少し怖さを感じました。一種の軍歌みたいでね

国岡の人柄に惹きつけられて、冷静沈着な補佐役の柏井(野間口徹)、東雲(吉岡秀隆:後の出光興産三代目社長の石田正賓がモデル)、元漁師の長谷部(染谷将太)、元GHQの通訳・手島(鈴木亮平)などが集まります。

その一方で、国岡の妻・ユキ(綾瀬はるか)は子供が出来ないことや国岡が仕事一筋で家庭に目を向けない孤独から彼の元を去ります。

国岡は、日本の復興のために突き進んだ人のようですが、その行動は犠牲や危険を伴うものに見えます。カリスマには違いないけれど、熱に浮かされた狂気を孕んだ怖さも感じました。壮年の鐡造を演じる岡田君は上手かったけれど、国岡自身は好きになれなかったな~~


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2017年09月04日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年9月1日公開 アメリカ=中国=香港 107分

香港警察の刑事ベニー・チャン(ジャッキー・チェン)は、香港犯罪界のドンと疑うヴィクター・ウォン(ウィンストン・チャオ)を捜査中、同僚のヤン(エリック・ツァン)を失った。一人娘のサマンサ(ファン・ビンビン)を託されたベニーはその後見人として面倒をみることに。9年後。引き続きヴィクターを追っていたベニーは、潜入捜査の失敗から住宅街に甚大な被害を与えたことで停職処分を受ける。 その頃、マカオのカジノで働くサマンサのもとに現れたアメリカ人詐欺師コナー・ワッツ(ジョニー・ノックスヴィル)はサマンサを巻き込んだイカサマにより大金をせしめて姿をくらます。サマンサの上司ウィリーは何としてでもコナーを探し出すようサマンサに命令、彼女はベニーに助けを求める。コナーが既にロシアまで高飛びしているとわかったベニーは、単身ロシアに乗り込んで彼を逮捕した。が、なぜか二人まとめて追われることになってしまう。実はコナーはロシアン・マフィア、香港マフィアなどありとあらゆる組織に狙われている厄介者だったのだ。とんだ疫病神に出会ってしまったベニーだったが、何と、よりによってこの男が、ベニーが9年も追っているヴィクターの事件のカギを握っている人物だということがわかる。二人は衝突しながらも世界を逃げ回ることに。
逃亡先でさらに敵を作るコナー。怒り心頭のベニー。これ以上ないほど相性最悪なコンビは、巨大な犯罪に立ち向かうため、いや目の前の敵からとりあえず逃げるため、ありとあらゆる手段を使って目的地マカオを目指す。果たして、大逃亡の行方は!?(公式HPより)


監督は「ダイ・ハード2」「クリフハンガー」のレニー・ハーリンで、演じるのがジャッキーとくれば、これはもう娯楽作として合格点間違いなしでしょ バディものですが、今回の相棒はコテコテのアメリカ人(今時カウボーイハットのこんなテキサス野郎がいるのか??)しかも手癖・女癖の悪い詐欺師とあって、熱血正義の人なベニーと相性最悪コンビです。『ラッシュアワー』『シャンハイ・ヌーン』シリーズ以来の “EAST MEETS WEST”な作品で、「クリス・タッカーとオーウェン・ウィルソンを足したような」(ジャッキー評)ジョニーのとぼけた演技と早口のセリフ回しが絶妙な笑いを生み出します。

香港からロシア、ゴビ砂漠を横断してモンゴル、中国と二人の珍道中はコミカルな味付けがたっぷりされていて楽しめます。もちろん雄大な自然も目の保養です。隙あらばベニーの裏をかいて逃げ出すコナーですが、どこか抜けてて結局は追いつかれて捕まる繰り返しはお笑いの「てんどん」みたいな笑いを作り出していました。そしていつしか互いの過去や境遇を知って、友情が芽生えていくのね。

アクションシーンは激しさのなかにもユーモアがあり、「うわぁ、痛そう」と思いながらもついつい笑ってしまいます。予告やCMに登場していたマトリョーシカを使った工場でのアクションが特に面白かったです。

ロシアン・マフィアのダーシャ(イヴ・トーレス)とウィリー(ヨン・ジョンフン)一味の女性の一騎打ちもありました。このロシアン・マフィアとコナーの関係も彼がボスの娘に手を出し結婚を迫られたという・・・最終的にはなかなか脱力系のオチが待っていました だよね~~最初にちゃんと否定してたもんねぇ 彼が好意を持ったのはサマンサで、ベニーと彼の部下のレスリー(シ・シー)共々、最後は二組のカップル成立か

黒幕の正体は、わかってみれば「そういえば」な演出がありました サマンサが閉じ込められた部屋に飾られたたくさんの「写真」が「彼」の愛情を示していますが・・・そもそも「相棒」の性格を熟知しているのに何故後見を頼むかな~~ あ、警察内部の協力者は簡単にわかっちゃったんですけどね

エンドロールのメイキングシーンもジャッキー映画の定番。今回も楽しめました

作品の中でも実年齢に近い役柄ですが、いまだ現役のアクションスターって素晴らしいです


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