2017年8月26日公開 アメリカ 118分
ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)。朝起きると妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マーヴィンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない時間だ。そんな彼が過ごす7日間が描かれる。(映画.comより)
パターソン市に住むバス運転手パターソンの何気ない日常を切り取った人間ドラマです。ラストでパターソンと出会う日本人詩人を永瀬正敏が演じています・・・え?そうだったの?? 日本人だなぁとは思って観てたけど・・わかりませんでした
ジム・ジャームッシュ監督なんですね~~。独特の間の取り方とか淡々と流れる日常描写とか、物語自体が詩的です。
でも作品に物語を期待する私向きではないかな。
月曜から日曜までの一週間を淡々と追う画面。毎朝目覚ましで起きて妻にキス。毎晩二人は睦まじく体を寄せ合って眠るんですね~~。それだけでも十分幸せな毎日だよね。
マーヴィンの散歩の途中に寄るバーでは常連客の揉め事に巻き込まれたりします。パターソンの穏やかな生活の中のちょっとしたスパイスになっています。バスの乗客の少女との会話はまさに小さな詩人との邂逅です。 そんな積み重ねが彼の詩のインスピレーションになってくるんですね。
妻のローラは芸術家。その感性は時々パターソンの理解を超えてしまうけれど、妻にぞっこんの彼はその全てを受け入れてしまいます。分不相応の買い物も、不味い料理もね。見てるこちらが少々歯がゆいというか苛立つほどの寛容さです。
その寛容さも土曜の夜、ローラとデートして帰宅した時、マーヴィンの悪戯で詩のノートが無残に引き裂かれた時には少しだけ揺らいでしまいます。(そういえば、ローラは彼にノートをコピーして欲しいと懇願していましたが、結局彼はしてないんですね~~)ノートを置き忘れてしまった自分にも非があるわけで、どこにもぶつけられない憤りと喪失感を抱えてベンチに座り込んだ彼に、日本人旅行者が声を掛けてきます。彼もまた詩人であり、パターソン市が生んだ有名な詩人を偲んでこの町を訪れたらしい。会話は弾み、別れ際にパターソンは一冊のノートを贈られます。彼の詩人としての新しい章が開かれたのですね。
そしてまた月曜の朝がやってきて・・・
だから??って思う人には合わない作品ですね。
詩の翻訳は難しいと劇中でも言っていますが、字幕に翻訳された彼の詩もよくわからなかったけれど、なんとなく響き?余韻?は感じることができました。(でも少なくとも私は詩人ではないなぁ)