2018年10月6日公開 アメリカ 101分 R15+
FBI特別捜査官のジョー・メリウェザー(ジェフリー・ディーン・モーガン)と若き相棒捜査官キャサリン・コウルズ(アビー・コーニッシュ)は、連続殺人事件の捜査に行き詰まり、元同僚のアナリスト兼医師ジョン・クランシー博士(アンソニー・ホプキンス)に助けを求める。博士は隠遁生活を送っていたが事件に特別の感情を抱き、容疑者のチャールズ・アンブローズ(コリン・ファレル)を追跡していく。だが並外れた予知能力の持ち主である博士は、この殺人犯が自身以上の能力をもっていることに気付く…。(公式HPより)
サイコスリラーはあまり好きではないのですが、アンソニー・ホプキンス出演ということでチョイスした作品です。クランシー博士と容疑者に共通するのは予知能力です。(博士は触ったものの過去や未来が見えるんですね)
博士は娘を病気で亡くしてから妻とも別れてひっそり暮らしていますが、その理由は後半の容疑者との対決の中で明かされます。予知は出来ても未来を変えることはできないというのは本人には辛く惨い能力ですね。訪ねてきた元同僚の頼みをにべもなく断った博士ですが、彼らの未来を垣間見てしまったことから前言撤回し協力するという筋書きです。未来は固定されたものではなく、様々な可能性を秘めているパラレルワールドでもあるという描き方です。コウルズ捜査官は初め超能力の存在を疑っていましたが、ジョンと捜査を進めるうちに考えを改めます。そりゃ~目の前で起きたことそのものが現実であり真実なのだから当然かも。
連続殺人の被害者たちは、今は健康そうに見えても、いずれも死を前に長い苦痛が待っているような人たちでした。アンブローズは彼らへ慈悲の死(首の後ろを鋭い刃物で突き刺し痛みもなく即死させる手口)を与えたのだと言い、自身に迫っている死を前に博士を後継者にしようとしていたのでした。
アンブローズに「お前はただの殺人者。たとえ痛みや苦しみがあっても、人生最後の瞬間にはそれさえもが幸福なのだ。」と言った博士に、彼は「お前の娘にも同じことが言えるのか」と返し、博士は言葉に詰まります。娘の苦しみの先を予知できた博士は娘を安楽死させていて、アンブローズはそのことを知っていたのですね。博士が仕事を辞め隠遁生活を送っていた理由でもあります。彼は自らの能力を呪ったかもしれませんね。知らない方が幸せなことだってあるんです。
将来苦痛を伴う死が待っているにせよ、他者の命を奪うことは許されることではないと思います。命の選択は本人にしかできない。他者が自分の思い込みで決めて良いわけではないんじゃないかな
この話に救いがあるとすれば、博士が過去に引きこもることをやめ、妻と向き合う勇気を持てたことかも。