2013年4月13日公開 イタリア 95分 G
ローマで著名人のゴーストライターや家庭教師をしながら気ままな生活を送る中年男ブルーノ(ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ)は、ある日、教え子ル(フィリッポ・シッキターノ)の母マリーナ(アリアンナ・スコンメニャ)から、自分が留守にする半年の間、ルカを預かってほしいと頼まれる。しかも、ルカは15年前にブルーノとの間にできた子どもだという事実を告げられる。ブルーノはルカに父親であることを隠しながら、一つ屋根の下で暮らし始めるが。 (映画.comより)
年齢や生きてきた環境も違うけれどどこか通じるものがあるふたりの、触れ合いと成長をユーモアたっぷりに描いたハートフル・コメディドラマです。
原題の「Scialla」はローマで流行した若者言葉でStai Sereno(まぁいいから、落ち着いて)の略で「Take it easy」と同義語のようです。
舞台となるローマのコロッセオやトレヴィの泉、フォロ・ロマーノ、真実の口などの観光名所をスクーターに二人乗りで飛ばしたり、バルやオープンカフェでのシーンもあり楽しめます。
ある日、教え子の母に呼び出されたブルーノは仕事で海外に行く自分の代わりに息子のルカと同居して欲しいと言われます。何故自分が?と驚く彼に、「私が誰か気付かない?」と彼女は15年前に一晩を過ごした仲であること、ルカはその時の子供だと明かします。戸惑いながらも受け容れ、ルカと過ごすうち、次第に父親としての感情が芽生えていくブルーノ。例えばキュウリ嫌いな自分と同じくルカもキュウリが嫌いだとか、そんなちょっとしたことが何だか嬉しくなるのね。
まるで父親みたいに(実際そうなんだけどね)束縛してくるブルーノに反抗しながらも、ルカも彼と向き合う中で学ぶことの楽しさに目覚めていきます。
ブルーノが自伝を代筆中のポルノ女優ティナ(バルボラ・ボブローヴァ)につい自分の話をしてしまうところや、ティナと一夜を共にした朝のリオとの会話など、イタリアらしい軽妙さもあって楽しめます。
リオが出来心で盗みを働いたのが詩人(ヴィニーチョ・マルキオーニ)と呼ばれる 裏社会のボスの家。すぐにばれてブルーノを巻き込んで窮地に陥りますが、詩人がブルーノの元教え子(彼は元教師)だったため、難を逃れます。この件がきっかけでブルーノはリオに自分が父親であることを打ち明けます。日本人なら恨み言の一つや二つ言いそうなものだけど、案外あっさり事実を受け入れるリオ。ま、ブルーノに一方的に非があるというわけでもないものね。
落第すれすれだった成績もグンと伸びたリオですが、結果は落第。努力を認めないのかと憤慨して学校に乗り込んだブルーノに担任はリオ自身が落第を申し出たのだと話します。まだ学ばなければならないことが残っているし、真面目に勉強してきたクラスメイトに申し訳ないという理由を聞いて、息子の成長をブルーノはきっと誇らしく感じたことでしょう。
出会いが人を変えていく二人の成長物語です。それにしてもリオって素直で可愛いなぁ😘