2022年10月28日公開 150分 G
天界と地上の間にある街、三ツ瀬。美しい海を見下ろす山の上に、老舗旅館「天間荘」がある。切り盛りするのは若女将の天間のぞみ(大島優子)だ。のぞみの妹・かなえ(門脇麦)はイルカのトレーナー。ふたりの母親にして大女将の恵子(寺島しのぶ)は逃げた父親(永瀬正敏)をいまだに恨んでいる。
ある日、小川たまえ(のん)という少女が謎の女性・イズコ(柴咲コウ)に連れられて天間荘にやってきた。たまえはのぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故にあい、臨死状態に陥ったのだった。
イズコはたまえに言う。「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」。しかし、たまえは天間荘に客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る。そもそも三ツ瀬とは何なのか? 天間荘の真の役割とは?(公式HPより)
ある日、小川たまえ(のん)という少女が謎の女性・イズコ(柴咲コウ)に連れられて天間荘にやってきた。たまえはのぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故にあい、臨死状態に陥ったのだった。
イズコはたまえに言う。「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」。しかし、たまえは天間荘に客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る。そもそも三ツ瀬とは何なのか? 天間荘の真の役割とは?(公式HPより)
漫画家・高橋ツトム「スカイハイ」のスピンオフ作品「天間荘の三姉妹」を実写映画化した「人が生きること」についてのヒューマンファンタジー 作品です。監督は『この世界の片隅』の真木太郎。
地上と天界の間にある三ツ瀬の天間荘には、臨死状態の魂がやってきます。
母親を早くに亡くし父親も行方不明で天涯孤独の小川たまえがイズコに連れられ天間荘にやってきます。(タクシーで来るのですがマスクにサングラス姿の運転手が超怪しい😁 )そこでのぞみとかなえが腹違いの姉であることを知らされます。二人の姉は歓迎しますが、恵子は客ではないときつく当たり、たまえは天間荘の従業員として働くことを申し出ます。
早速長逗留している財前玲子(三田佳子)の担当となったたまえは、気難しい財前に振り回されながらも持ち前の天真爛漫な明るさで少しずつ財前の心を開いていきます。「走馬灯」(生前の記憶)を見て戻るか逝くか決めるよう恵子に渡されたものの怖くて見られないという財前に、たまえは一緒に見ようと提案し、財前は(子供の時に別れた)娘が孫を連れて昏睡状態の自分を見舞っていることを知ります。
次の宿泊客・芹崎優那(山谷花純)は、高校の時に描いたイラストが盗作と言われ虐められて引き籠りになり家庭内暴力の末に自殺を図り臨死状態です。
たまえは恵子に言われて優那に走馬灯を見せますが、辛い過去に耐えられず走馬灯を投げつけて火事を起こします。問題児の優那に優しく接してくれるたまえに心を許し、再び絵を描く意欲を取り戻した優那は、たまえと一緒に現世に戻りたいと願いますが、家族と一緒に過ごす今の暮らしを続けたいたまえに拒否されます。裏切られたと感じた優那は、たまえと一緒にいたかなえをナイフで刺しますが、既に死んでいるかなえは無傷でした。
天間荘に戻った優那に、イズコは選択を迫りますが、彼女はどちらも拒否します。その様子を見かねた財前が優那と一緒に現世に戻ると言い、二人はタクシーに乗り三ツ瀬を去っていきました。
たまえはかなえにイルカトレーナーになりたいと教えを請います。その練習の様子を見守っている人影に気付いたたまえは「お父さん」と呼びかけました。それはタクシードライバーの小川清志で、三姉妹の父親だったのです。
彼はたまえを引き受けて貰おうと三ツ瀬を訪れた際、地震による津波に呑み込まれていました。自分の行いを詫び頭を下げる清志に、恵子とのぞみは冷ややかな目を向けますが、かなえは家族の写真を撮ることを条件に許します。
たまえのイルカトレーナーデビューの日がやってきましたが、上手く出来ない様子を三ツ瀬の住人たちが笑います。怒った恵子は彼らに向かってあの地震の日で時が止まったままの三ツ瀬を終わらせると告げます。
たまえは、三ツ瀬の人々の想いを受け止めて現世に戻ることになります。
父はたまえに「人は死んでも遺された者の心の中で生き続ける」 と言いました。
天間荘で住民達は最後の宴会をします。(料理人として中村雅俊が出演しています)昇天する彼らを見送りながら家族皆で食事を楽しんだたまえが疲れて眠ってしまった後、家族も来世で会おうと約束して昇天していきます。目が覚めたたまえはイズコの「お生きなさい」の言葉に背中を押され現世に向かいました。
たまえは、優那に会いに行き、一緒に三ツ瀬の水族館を訪れます。あの日、父が助けた早乙女海斗(萩原利久)にかなえと水族館の館長をしていた彼の父親のことを話したたまえは水族館で働くことになります。イルカトレーナーデビューしたたまえは、亡くなった人たちのメッセージを伝え、ショーを見事に成功させたのでした。
魚屋の息子の魚堂一馬(高良健吾)と父親の源一(柳葉敏郎)、早乙女海斗と父親の勝造(平山浩行)。それぞれ息子と父をあの地震で亡くしていて、時が経っても互いに思い合っている様子が切なくも温かく描かれていました。
イズコは、東日本大震災とその後の津波で命を奪われ突然の死を迎えて心の整理がつかない住民たちのために天国と現世の間に三ツ瀬の町を作り、恵子はその意図を汲んでこの世とあの世の間にいる者を天間荘に迎えることでイズコの手伝いをしていたのでした。たまえを天間荘に連れてきたのは、家族と会わせることで生きる希望を与えたかったのと、たまえにみんなの魂を救って欲しかったからです。
震災で変わり果てた町や津波の描写はまだ胸を抉る傷みを呼び起こしますが、人の温かさや想いも伝わってきて涙腺が緩くなる場面も多々ありました。
現世での財前玲子が娘や孫と楽しそうにしている姿や、死者からの伝言を受け取った源一たちの笑顔が眩しかったです。誰かの心(記憶)の中にある限り人は生き続けるのですね😌