2023年1月6日公開 イギリス 113分 G
ウェールズの谷あいにある小さな村。無気力な夫ブライアン(オーウェン・ティール )と暮らすジャン(ジャネット)・ヴォークス(トニ・コレット)は、パートと親の介護だけの単調な毎日に飽き飽きしていた。そんなある日、クラブで共同馬主の話を聞いた彼女は強く興味をもち、競走馬の飼育を決意。勝ったことはないが血統の良い牝馬を貯金をはたいて購入し、飼育資金を集めるため村の人々に馬主組合の結成を呼びかける。産まれた子馬は「ドリームアライアンス(夢の同盟)」と名付けられ、奇跡的にレースを勝ち進んで村の人々の人生にも変化をもたらしていく。(映画.comより)
ウェールズの片田舎の小さなコミュニティで育てた競走馬が最高峰のレースに挑んだ実話を基に描いたヒューマンドラマです。
ウェルシュナショナルのオープニングでウェールズ国歌「Hen Wlad Fy Nhadau(英題:Land of My Fathers)」をウェールズ語で歌ったのは、南ウェールズ出身のメゾソプラノ歌手キャサリン・ジェンキンスです。
ジャンはバーテンダーとスーパーのレジ打ちを掛け持ちして家計を支えています。夫は無職で日がなソファに座りTV漬けでジャンの話を聞いてもいません。高齢の両親は介護が必要で、生活に追われるだけの何もない人生に物足りなさを感じていました。
そんなある日、パブの客ハワード(ダミアン・ルイス)が、かつて競走馬の馬主だった話で盛り上がっているのを聞いた彼女は、自分にも競走馬を育てられるかもと思いつき、鳩レースをやめて生き甲斐を失っていた夫を巻き込みます。資金もノウハウもないため、まずはハワードに声をかけて協力を得た彼女は、次に村人たちに共同馬主となることを呼びかけ、集まった約20人に週10ポンドずつ出し合ってもらい組合馬主を結成します。夫婦の貯金(組合に立替)で血統の良い牝馬ルーベルを安価で入手し、種付けして生まれた子馬はドリームアライアンスと名付けられ大切に育てられます。
やがて成長したドリームは、国内最高の調教師ホッブスに認められて訓練を受けレースに参加することになります。
バスに乗り駆け馬主席ではしゃぐ村人たちの様子がとても微笑ましい😉
エイヴリー卿(ピーター・デイヴィソン)ら地位のあるお金持ちが殆どの中で悪目立ちしていますが彼らは全く気にしていないのも👍素人が育てた農場の馬と格下に見られたドリームでしたが見事4位で入賞し、皆大喜びします。
次のレースではエイヴリー卿の馬を抜いて優勝し、卿から譲って欲しいと打診されますが、ジャンは即座に断ります。組合員たちの中には彼女の独断を非難する者もいました。(お金が絡むと欲が出るのも人の常)その後も順当に勝ち続ける姿に、村全体が活気付きます。
しかし、あるレースでドリームは大怪我をして高額な治療費(幹細胞治療には2万ポンドかかり、成功しても再起できない可能性が高い) か安楽死の選択を迫られる事態になります。ジャンの必死の願いが組合員たちに通じて治療が選択された結果、ドリームは怪我を克服します。怪我が治ったドリームをレースに出走させることにジャンは反対しますが、ブライアンはドリームは出たいと思っているだろうと諭します。(ジャンのドリームに寄せる想いはまるで我が子を心配する母親のようでした。)
復帰レースのウェルシュナショナルでドリームは見事優勝を果たします。。レースの描写も見応えがありました。出走前の馬たちの高ぶりや障害を飛び越える音、ゴール前の直線のデッドヒートはまさに手に汗握る迫力でした。
ドリームの生涯獲得賞金は13万7000ポンドで、出資者はそれぞれ1430ポンドの配当を受けたそうです。
でも彼らが得たのは金額よりもっと大きな夢や胸の高鳴りでした。
村を出た人たちが出身を隠したくなるような小さな村が、ドリームによって有名になって誇れる場所になったのです。ウェルシュナショナルレースの模様を共同馬主たちだけでなく村全体で固唾を飲んで見守り応援する様子から熱気と興奮が伝わってくるようでした。
かつて馬主で大損して家を手放しかけたハワードは、妻のアンジェラ(ジョアンナ・ペイジ)に言い出せずにいましたが、ばれてしまいます。ハワードは税理士として勤めていた会社も辞めちゃってますから怒るのは当然ね。でもハワードの父親の夢(騎手になりたかった)の話を聞いていたジャンがアンジェラに何気なく話したことで猛反対していた気持ちに変化が生じ、ウェルシュナショナルには家族で出かけるのです。ジャン夫妻もですが、夫婦仲も改善されたという😁 元々どちらの夫婦も互いを愛する気持ちはずっと変わらないのも良いね♡
エンドロールでキャストが陽気に合唱する「Delilah」の歌詞がなかなか物騒(浮気した恋人を殺してしまう)で、この歌を選んだことにどういう意味があるのか気になりました😓