上弦の月がやけに空を遠く感じさせる夜。
台風15号は、マラソン人の歩みで北上中だ。
日中はかなり気温が上昇し、暑かった。
二階の窓辺まではりだしたモミジの大木で、
暑さに加担するかのように、ツクツクボウシが大合唱していた。
今は、すこし涼しさを増した庭で、正確な時を刻んでいるかのように
カネタタキが鳴いている。
今日は、芥川賞の羽田圭介さんの「ススクラップ・アンド・ビルド」を
読んだ。
主人公・健斗が、じいちゃんを尊厳死させてやろうと奮闘する話だ。
早くお迎えが来てほしいと言いながら、
生に執着する高齢者の姿をとおして、
介護の日常がどんなに大変なことかが手に取るようにわかる。
健斗の努力の甲斐もなく・・・というか健斗のおかげで
この長崎弁のじいちゃんは、きっと長生きするだろう。