

石川です。
昨日、無事に帰国しました。
今回の経験で得たものをきちんと消化し、アトリエで皆さんの作品への意見や、アドバイスをしていく中で生かしていこうと思います。(厳しくなったりして)
帰国したということで、海外アートフェア関連はとりあえず今回で締めです。
今回、私がヨーロッパの芸術祭を見てきて、体感したことは、前回のブログのものとはまた別にありまして、それを書こうと思います。
私がもうひとつ気づいたこととは、芸術祭に出品されている作家の作品の思想や概念が、美術史的に変化してきているということです。
近代~現代の芸術祭が自国のパワーや知性を見せつけるようなものだったのにた対し、現代~現在では直線的な進歩史観の限界が見直され、さらにメディアの進歩により国境を越えたコミュニケーションを他民族・多国間同士でしやすくなったことも加味して、あらゆる価値観・思想が、氾濫している状態を示していたと言えます。
そして多様性に眼を向け、認めていこうじゃないかという動向も今や過ぎて、様々な価値観があることが分かったことで、今現在は、近代・現代の狭い視界よりも広い視野を得た現在の人類が再び「普遍的な価値とは何だ?」また、「本当に人類にとって大事なものって何だ?」と、改めて問い直すような時代傾向にあるのではないでしょうか。
そういえば、ちょっと前に流行った、政治哲学者のマイケル・サンデルの『これからの正義の話をしよう』も、「正義とは何か?」を今改めて問うような側面があったと思います。
今回見た作品はそうゆう傾向のものが多かったように思います。そんな長々と、固くるしい気づきでした。
ということで失礼します。
※画像はヴェネチアビエンナーレのアメリカ館の作品で、おそらく戦争を茶化したもの。戦車を逆さまにして、ランニングマシーンにしたもの。