
アトリエでは鉛筆デッサンで基礎固めをされているSugawaraさんは、ご自宅では彫刻を制作されています。今までは具象が多かったのですが、今回は抽象的な立体の造形美に挑戦されました。その作品が公募展で入選されました。
「抽象は分からないので困る。説明して欲しい。」とよく聞きます。人体や動物など、何かの形に似せて作っている具象彫刻については「良くできてる」「そっくりだ」と安心して鑑賞できますが、しかしそれだけで満足してしまう事も多いでしょう。本来鑑賞というものは表面的なうまさより、その作者の心の動き、取組みを読み取ることが大事なのです。
良い作品はまず表面上の形状から鑑賞者の視覚的な触覚を刺激し、自然と作者の心の中に引きずり込むような内面に訴えかけるオーラがあります。存在を意識しないわけにはいかない力を感じます。そして、鑑賞眼が豊かであればあるほど、作品の価値は大きくなるのです。
マルセル・ブリョンは『抽象芸術』の中で「芸術は新しい形体を発見するためには、模倣的であることをやめねばならない」と書いています。ぜひSugawaraさんの新しい自己開拓、リアリズムへの反発、抽象的な内面世界をご堪能下さい。 オバラ
第63回創型展 彫刻 立体・空間造形
会期:2015年6月2日(火)~9日(火)AM9:30~PM5:30 (入場PM5:00まで 最終日PM2:00まで)
会場:東京都美術館・ギャラリー(上野公園内)