山下です。今日は水曜朝クラスの田中さんの油彩作品の紹介をしたいと思います。
絵を描くにおいて、雰囲気を表現する事はとても重要です。
雰囲気とは描写をすれば生まれるというわけではありません。頭の中で想像する雰囲気を表現するのは、想像以上に困難な事です。しかし、絵の雰囲気は作品の顔であり、作者の事を一目で紹介してくれるもの、と言っても過言ではないと思います。
そして田中さんの作品は、作品が醸し出す雰囲気がとても魅力的です。初めて作品を目にした時、キャンバスに凝縮された世界観に一気に引き込まれたのを覚えています。
こちらのボートの絵も、作品の前に立つと絵全体の独特な世界で包み込まれるような感覚になります。風景を描いているのですが、どこかで目にしたような、けれどどこにもない景色のような、まるで遠い昔に夢の中でみたような、そんな不思議な世界が表現されています。少し沈んだ水の青色も、鮮やかな色味を放つ緑と花の赤も、この世界ではこういう色が存在しているんだな、と納得させられます。
そしてもう一つの魅力的なもの、それは筆のタッチです。点描のようにポンポンポン、、という筆の動きが画面から見て取れるのではないでしょうか。点描は使い方によっては画面全体を壊してしまったりと、なかなか難しい表現です。(私は好きだけど、苦手です…。)けれどこちらの作品は、筆のタッチが作品の雰囲気や色味を更に優しくしてくれていますね。
田中さんはきっと無意識に色の選択や筆の表現をしていると思いますが、思いのまま描いて魅力のある作品を創れるのは、とても素敵な事ですね。