佐竹 油彩
大竹です。今回ご紹介させていただくのは、佐竹さんの油彩の作品です。
左の作品セザンヌの「果物カゴとスープ鉢のある静物」を模写されています。
元の絵のくすんだ色合いと比べると、全体的に明るいお洒落な色合いになっていますね!所々下地に使った青が覗いているので、明るく爽やかな印象を見る人に与えてくれます。窓の外の風景も、ササっと軽く塗って仕上げていながらもきちんと街並みがの形が見えてきますね。この軽く仕上げる、というのは実はガッツリ書き込んで仕上げる、というよりも難しかったりします。少ない手数で未完成に見えないように仕上げなければならないので、どこにどの色を置けば効果的か見極める必要があるのです。その分、手前のテーブルや静物たちはたっぷりと絵の具を使い、重みや質感を出していますね。スープ鉢なんかも、元の絵の古っぽさがなくなりスタイリッシュな印象を受けます。
そして右の作品はシスレーの「モレの橋」の模写となっています。
可愛らしいこちらの作品ですが、制作中は橋や川の色味に苦戦されており「私が挑戦するには早過ぎました…」としょんぼりしている姿を度々お見かけしておりました。しかし、この完成した作品からは全くそのような事は感じさせません。画面の中央へと向かう橋が、見る人の視線を可愛らしいピンクの屋根の家まで導いてくれています。模写元の作品と比べると分かりますが、この家の屋根は元絵よりも鮮やかなピンクが使われております。他の建物の屋根の色も更に鮮やかになっており、まるで子供の為に描いてあげたような優しい風景となっています。佐竹さんの人柄がそのまま色合いに表れているようです。橋の下の色が濁っているようにも見えますが、むしろこの濁った色が鮮やかな屋根や空の色を引き立ててくれているのでしょう。甘いお菓子にしょっぱい塩を入れるとより甘さが引き立つように、見せたい部分を引き立てる為にあえてそれとは逆の要素を取り入れる事も必要ですね。
佐竹さんは今年で入会5年目ですが、最近「ようやく絵が楽しいと感じるようになってきました。」と仰っていました。楽しくない事は3日も続かない私にとってはよくぞ5年間も…!と小原先生と共に尊敬してしまいました。1度楽しいと感じたら、これから先もどんどん楽しくなってきますよ!