モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

静物着彩之心得

2021-04-10 23:15:23 | 大人 水彩


河内 透明水彩


女子美術大学付属高校合格 中3の作品 透明水彩(1枚2時間)

 

本日も宜しくお願いします。岩田です。
今週は、透明水彩の作品を並べてみました。上段は、土曜午前クラスの河内さんの作品。

ご自身曰く「まだ透明水彩と仲良くなっている感じがしません・・。」とのこと。ところが作品を見るにつけ良く描いたなあという印象を持ちます。
特に目を引くのは赤いホーローポット。先ず大きく色を置き立体感を出しつつ、徐々に面相に持ち替えて細部を攻めていくといった、お手本のような描き方で進められたことを想像します。
その反面、やや苦労をしたのはガラス浮きではないでしょうか。保護網に覆われている故、如何に進めようか迷うことは致し方ないことです。
こうした場合、先ずは浮き自体の青色を乗せていくことが定石でしょうが、網に絵の具がはみ出てししまわないかと躊躇してしまうでしょう。
しかし下の色が透けやすい透明水彩とはいえ、更に明度が低い網の焦げ茶色が上から乗ることを考えるとその心配をし過ぎるのは無用です。
むしろやや大きめの筆で、浮きの丸みを意識しながら鮮やかな青色を思い切って乗せてみると良いでしょう。

下段は今年の受験生の作品です。
2時間という決して多くはない時間の中で、ご覧のような数多くのモチーフを描き切るのは至難の業と思えるかもしれません。
確かに一朝一夕で上手くはいかないでしょうが、こうした試験で求められるのは個々の描きこみよりも全体の印象。つまり如何に客観的に目の前のモチーフを捉えられているかです。

並べられたモチーフの中で、主役、脇役の序列を決め、主役は立体的且つ質感までしっかり描きつつ、主役から離れるに従って手を抜きつつ、上手く逃げることが大切です。
又、上手く逃げる為にも下描きがおろそかなまま焦って絵の具の仕事に入ってはいけません。
筆の筆致を主体に描いてもある程度描けそうな野菜や果物といった自然物はさておき、特に工業製品に伴う楕円やパース、レタリングといった筆だけに頼ると大きく形が歪んでしまう可能性がある部分はぐっと我慢して、下描きの段階でしっかり捉えておく必要があります。
画面の中で硬柔、遠近、静動といったメリハリのある一枚を心がけましょう。

コメント
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