坂本 アクリル
少しずつ日が長くなってきましたね、ナツメです。本日は月曜大人クラスの坂本さんの作品をご紹介します!
今回は葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」より『凱風快晴』をアクリルガッシュで模写されました。アクリルのビビッドな色合いが冴えていて目を惹きますね!
アクリルガッシュはムラなく綺麗にベタ塗りをすることができるのが特徴の画材ですが、逆にほとんど滲まない上にすぐ乾いてしまうためグラデーションを作るのにはかなり不向きです。今回赤富士の麓は水分を多めにすることで2色を馴染ませるように塗り、グラデーションだった雲には一度白を塗った上に影の色として水色を置くことで、画材の特性を活かしながら作品の本来の色味を損なうことなく表現されました。頂上から山腹までの色の変化もお見事です!
また、空や富士山も単色で塗るのではなく、ベースの色に少し暗さを足したり色味を変えて絵の具を重ねているので、空の色ひとつをとっても絶妙な色の変化を見てとることができます。浮世絵は大量生産するために木版画が多く、使う色ごとに版を分けて一枚の紙に重ねて印刷していました。そのため、一枚の画像だけを見ても、一見ベタ塗りのような色面にも木目によるインクのムラが確認できます。その上世に出ている数々の凱風快晴は、刷り師、紙、版などが少しずつ違っているため、実は画像によって随分と表情の差が現れるのです。そんなアナログな表情まで筆で描き切った坂本さんの技量に拍手!お手製の判子も加わって、「現代版・赤富士」が誕生しました。